アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

2015-01-01から1年間の記事一覧

彼岸への跳躍(ヘルマン・ワイル「数学と自然科学の哲学」)

3.諸性格は、現実に現れるように個別的に呈示されはしない、しかし、それらの記号は一定の方法によって生成され、無限に向かって開いている可能性の順序づけられた集合体の背景に投射される。認識はここで立停ってはいない。 けっして完結せず相変わらず無…

弱い獸

六月の水に溶けていく 弱い獣 秘密と韜晦の張力に耐えきれない 水面の膨らみから 押し出されてくる 毛と骨とわずかな肉「人はどんなときに黙るのでしょう?」それはきっと悲しいとき 死にたいとすればそれは愛ゆえに 生きたいとすればそれも愛ゆえに「今日は…

アリストテレスの自然哲学「物質のありかた=必然、自然の根底=目的」(ヘーゲル哲学史講義)

(β)目的とならぶ自然のもう一つの側面 ー自然における必然のつながりー も、 アリストテレスは的確にとらえています。・・・ 「家はこうした必然(物質的な必然)なしにはつくりだされないが、 こうした必然(関係としての必然)を実現するためにつくられ…

アリストテレスの自然哲学(ヘーゲル哲学史講義)

アリストテレスをもふくむ古代人は、 自然学といえば自然の一般概念をとらえるものと理解していたので、 自然学とは原理の論をさしました。というのも、 自然現象のうちには原理とその結果としての現象という本質的な区別があるからで、 この区別を統一へと…

「科学に含まれた形而上学的意味」 ヘルマン・ワイル

年とともに私は科学に含まれた形而上学的意味について狐疑的になってきた;”年をとるにつれて、世の中はますます奇妙になり、その模様はますます複雑になる。” しかも科学は真理と実在への、支えとなる超越的信仰がなくては、また一方それに事実および構成と…

自我的「再構成」の手前へー行為と他者の呼びかけ;田口茂「現象学という思考」

自我は、 「自分が一切を見ている」というモードでいつも働いているわけではないのに、 反省的思考のなかに入り込むと、 「自我が一切を見ている」という仕方で、 すべてを再構成的に塗り込めてしまう。それ以前の現象の生きられ方・経験のされ方は、 変様を…

坂口安吾「教組の文学」より

疑りもする、信じもする、信じようとし思いこもうとし、体当たり、遁走、まったく惡戰苦労である。こんなにして、なぜ生きるんだ。文学とか哲学とか宗教とか、諸々の思想というものがそこから生まれて育ってきたのだ。それはすべて生きるためのものだ。生き…

「人智学、その本質および哲学的根拠について」 ベルン 1920年(大正9年)7月8日;独逸語の勉強 #36

So möchte ich Ihnen sozusagen mehr als Ergebnis zeigen, wozu man in Bezug auf die Erkenntnis eines Entwicklungsmomentes des Menschen kommt, wenn man geisteswissenschaftlich forschend vorgeht. そこで、 皆さんに、 更に、 霊学研究が進展するに…

”Das Zeitalter der Bibel”を読む独逸語の勉強 #1

I Die Heimat der Bibel 聖書の故郷Deinen Nachkommen will ich dies Land geben. Genesis 12,7 おまえの子孫にこの地を与えよう。 創世記12.7Der VORDERE ORIENT war schon immer eine Region, die in besonderem Maß durch Mannigfaltigkeit in den klimat…

地中の城(第二稿)

1全ての物理現象は音楽的性質を帯びている。つまり物質は音楽の性質を帯びているから瓦解しないのだ。前期量子論的アポリアの解決。肉体の死とは物質界における人間から音楽が去ることです。音楽が突然終わる。あるいは静かに減衰していく。人が知ろうとす…

声(第三稿)

「声がする。あなたの弟の血が大地からわたしに叫んでいる。」この一日に終わりは来ないだろう 陽は垂直に上昇し再び帰らないだろう 夜明けはばら色の栄光を返上するだろう 日も月も年も円環の巡りを放棄するだろうもう肩車もできない ぼくは こどもたちが怖…

メランコリー(第四稿)

たしかに、スポーツに没頭することによって分泌される脳内物質がもたらすと云う恍惚感と、自己を越えた領域で行為、あるいは思索することで「救済」される感覚は似ている。それはニュートンによる重力の式とクーロンの法則が逆二乗則として相似形であること…

天使論(第二稿)

1基督教グノーシスの一派はエデンの蛇にイエスを視たと言う。アナキスト・バクーニンは楽園の蛇=サタンこそが人類の解放者であると主張した。自由の霊は世界の全重量を背負う。自由は永久(とこしえ)に背理のなかにある。「創造さるるや否や天使等の一部…

春(第二稿)

クララとは何者? 私はあなたの存在を感じた 肌の温もりと その匂いを冷たい雨に恋する人 朝 開いた頁のなかで 突然失恋するあらかじめ失われた恋人よ 私があなたの涙腺から溢れ出ることは らくだが針の穴を通るよりもたやすい迷宮の奥深く入って行きたい 春…

夢魔(第二稿)

マルキオンは死なない 夢魔君の脳髄をストローで吸いたい そのときぼくの頭上に広がる君の歌声 それは青空を満たすほどに失われた天国である物の裏側 影こそが美しい もどかしげな愛の手つき そしてぼくの掌を覆う十字架 それは神秘家の徴であるマルキオンは…

泳ぐ猫

眼下に巨大な水面が広がっていて、透き通った水の中には巨大な鯉が何匹も泳ぎ廻っている。子どもが落ちたら食べられてしまうだろう。私はそう考えて怖れた。すると、猫が二匹、水に落ちた。いや、猫たちは落ちたのではなく、飛び込んだのである。彼らは水中…

「人智学、その本質および哲学的根拠について」 ベルン 1920年(大正9年)7月8日;独逸語の勉強 #35

Es ist nun einmal so, daß spekuliert wird über die Beziehungen von Leib und Seele; parallelistische Theorien, Wechselwirkungstheorien und so weiter sind aufgestellt worden. ことの是非はともかく、 身体と魂の関係については、 以下のように考え…

メランコリー(初稿)

たしかに、スポーツに没頭することで分泌される脳内物質による恍惚感と、自己を越えた領域で行為あるいは思索することで「救済」される感覚は似ている。それはニュートンによる重力の式とクーロンの法則が逆二乗則として相似形であることに匹敵する「偶然性…

メランコリー(第三稿)

たしかに、スポーツに没頭することで分泌される脳内物質による恍惚感と、自己を越えた領域で行為あるいは思索することで「救済」される感覚は似ている。それはニュートンによる重力の式とクーロンの法則が逆二乗則として相似形であることに匹敵する「偶然性…

五月五日子どもの日 上野動物園・脱原発モデ 翌日の感想

朝、何気なく手にとって開いた本の頁が一種の啓示になる。今朝は、それが、"The Cambridge Dictionary of Philosophy"で、"emanationism"でした。「流出主義」とでも訳すのかな。プロティノス。そうか! 今日もその線で行こう!(笑)— armchair anthroposop…

五月五日子どもの日 上野動物園・脱原発モデ 教訓篇

今日は、こどもの日・上野公園動物園・脱原発モデにご参加のみなさん、それからツイート報告をRTして下さったみなさん、ありがとうございました。— armchair anthroposop (@longtonelongton) 2015, 5月 5おかげさまで、当初の意図通りのアピールができたと思…

五月五日子どもの日 上野動物園・脱原発モデ  経過報告

ハンドマイクは宅配の集配所に直接行って受け取ることになりました。あとは、カメラなど私物持ったら出ます。よろしくお願いいたします。— armchair anthroposop (@longtonelongton) 2015, 5月 4電車待ち。。。今日は風もあるし、涼しい!— armchair anthrop…

「人智学、その本質および哲学的根拠について」 ベルン 1920年(大正9年)7月8日;独逸語の勉強 #34

Deshalb war es mir eine so große Befriedigung - ich erwähne das, weil es durchaus zur Sache gehört, zu Sachen, die ich heute besprochen möchte -, 以下の事柄は、 私の大いなる満足とするところでありました、 ーなぜなら、 今日私が詳しくお話しし…

「人智学、その本質および哲学的根拠について」 ベルン 1920年(大正9年)7月8日;独逸語の勉強 #33

Diejenigen, die man sich als Mitarbeiter wünscht, das sind wahrhaftig nicht Laien oder Dilettanten - dazu ist Sache viel zu ernst.われわれが協力者になってほしいと思うような人は、 実際、 素人やアマチュアではありません。 そのためには、 自体…

夢魔

マルキオンは死なない 夢魔 君の脳髄をストローで吸いたい そのときぼくの頭上に広がる君の歌声 それは青空を満たすほどに 失われた天国である物の裏側 影こそが美しい もどかしげな愛の手つき そしてぼくの掌を覆う十字架 それは神秘家の徴である マルキオ…

来る五月五日子どもの日 上野動物園・脱原発モデへのお誘い

【拡散希望です】5月5日(火)こどもの日、上野恩賜公園・西郷隆盛銅像下、13時集合、13時30分出発。脱原発モデ(車道ではないので警察から自由。デモではない!)。タイベックス(防護服)着用で逍遙し、上野動物園等で、こども・保護者たちに、原発問題を…

形而上学的「実在」とは、 それ自体において考察された靈的生命である。 ・・・アルベール・カミュ

世界が美しいのは、 そこになにものかが生きているからである。 だがまた、 なにものかが世界を秩序づけているからである。世界を活気づける精神、 それは宇宙の靈(プシュケ−)である。定まった枠のなかにその生を限定する上級の原理、 それが叡智(ヌース…

「むしろその失われた天國である物の裏側」 カミュ「キリスト教形而上学とネオプラトニズム」滝田文彦訳

プロティノス的「理性」はすでにある程度までパスカルの《心情》である。 だが、 だからと言ってプロティノス的理性はキリスト教思想に近いものだと言うのではない。 なぜならこの「理性」は瞑想に基礎をおいているという意味で、 美学の領域に属するものだ…

「マルキオンは死なない」 (アルベール・カミュ「キリスト教形而上学とネオプラトニズム」)

マルキオンの与える生活の掟は禁欲的である。 だがそれは傲慢の禁欲主義である。 この世の富を軽蔑しなければならないのは、 「創造主」に対する憎しみによってである。 造物主の支配にできるかぎり手がかりをあたえないようにせよ、 それがマルキオンの理想…

「人智学、その本質および哲学的根拠について」 ベルン 1920年(大正9年)7月8日;独逸語の勉強 #32

Das sieht zunächst aus wie etwas ungeheuer Paradoxes. これは、はじめは、とてつもないパラドックスのように見えます。Und dennoch, meine sehr verehrten Anwesenden, ではありますが、 親愛なるご臨席の皆さん、es ist durchaus etwas ganz Berechtigte…