アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

春(第二稿)

クララとは何者?
私はあなたの存在を感じた
肌の温もりと
その匂いを

冷たい雨に恋する人

開いた頁のなかで
突然失恋する

あらかじめ失われた恋人よ
私があなたの涙腺から溢れ出ることは
らくだが針の穴を通るよりもたやすい

迷宮の奥深く入って行きたい
春の秘密の地下水でのどを潤したい

桜たちは私の輸精管を通って花ひらくでしょう

  *

あなたの頬を裂く細い月から血が流れている