アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

シュタイナー講演録『人間の魂と動物の魂』1910(明治43)年11月17日#8

Auch da bleibt dem Menschen ein Spielraum, das Leben in einer ganz gewissen Weise in die Form hineinzugießen, ここでも、 人間にとっては、 ある特定の仕方で生が形態に流れ込む自由が残されているのであります。so daß wir nur vorauszuschicken bra…

万能細胞の夜(七月の改稿)

ある晩 小保方博士の試験管から逃げだしたSTAP細胞猫は 空腹のあまり博士を食べてしまいました気がつくと”彼女”は 持ち前の万能細胞力で 自ら博士の姿を再生していたのです純情な彼女は 上司と理研の圧力を真摯に受け止め 博士の名誉のために論文を執筆し ”…

シュタイナー講演録『人間の魂と動物の魂』1910(明治43)年11月17日#7

Hier geht es auch nicht, daß man den Menschen mit den nächststehenden Tieren vergleicht. ここで、 人間を、 人間に最も近い動物と比較することも意味がありません。Wenn man eingeht auf die vergleichende Anatomie, auf alle einzelnen Organe, われ…

聖ギロチン(七月の改稿)

同僚のK氏。 夢の中の私にはこれから起こる怖ろしいことがわかっているらしい。 夢を見ている私にはその怖ろしさだけが伝わってくる。 それはおそらく地面を通して。 肥満気味のK氏のズボンの股間が膨らんできた。 私は、ああ、始まってしまったと思う。 K氏…

嘘について(七月の改稿)

書くことは世界から孤立した事象であって、 書かれたことそれ自体にしか勝利も救いも無い。 言葉と宇宙の等価性。 しかし今やだれがそれを信じるというのか? ロゴスの孤独。 もはや自らそれを引き受けること以外に栄光は無い。数学も哲學も”言葉”で世界をつ…

ランゲの首(7月の改稿)

すでに朝日の射す部屋には血の匂いが立ち籠めていた。 病気の猫の身体が血の分子になって部屋の大きさにまで拡大、 飛散していたのである。 エーテル化した猫の身体の中で、 朝日を浴びるぼくの思念は集中と拡散を鼓動しながら、 宇宙の生命の輪郭に触れよう…

時間について(七月の改稿)

現在〈Dasein〉とは未来と過去を切断する『虚』であって、われわれは肉体によってこの『虚』にピン留めされている標本のようなものである。標本が生命を吹き込まれる。『虚』から開放される。未来も過去もないひとつながりの時間のなかに。それが死である。…

剣について(七月の改稿)

あなたの盛り上がった傷口の上を 日傘をさした婦人たちが通り過ぎる そこにどのような天使たちの介在があったのか?死を隠蔽する落下傘 眩い落下傘が大空に花開くとき 君の死が隠蔽される耳もとに落ちていく風の音 シューベルト弦楽四重奏曲第十四番ニ短調出…

コペンハーゲン(第四稿)

遅い、遅れてきた中性子 リアリティの賛美 光と影 の両極間を連続的に反転し続ける モーターのようなもの 言葉は空虚な事件である ことを認める 真犯人としての音楽家 見えない 夏の花 純粋な観測者なんてありえない 〈という現代物理学の常識〉 同時代人と…

シュタイナー講演録『人間の魂と動物の魂』1910(明治43)年11月17日#6

So müssen wir uns klar sein, daß alles, was auf den Menschen hereinwirkt, ihn umorganisiert. 即ち、 われわれは、 人間に外部から作用してくるもの全てが、 人間(有機体)の組織を変えていくものであることを、 はっきりと意識しておかなければならな…

福音(7月の改稿)

1S博士によれば人間が靈感を感受できる期間は一月のうちの半分にすぎないと言う ぼくはすでにその半分を逃したようだ 自分を追い立てる情熱の正体も分からなくなってしまった たとえば”四本の手のためのピアノソナタ” モーツァルトなら躊躇することもなく自…

鳥(7月の改稿)

鳥が飛ぶ! 狂った遠近法の中を 苦しい風の抵抗の中を 鳥が飛ぶ!世界の延長の涯ての 燃え尽きる時間の縁を 鳥が飛ぶ!風の中に揺れる陽炎 歷史の消失点を探す 金色の瞳を見開いて 鳥が飛ぶ!重力を支配する 否定の霊たちを震撼させる 怖ろしい叫び声をあげ…

ヒュポテシス(古伝梗概)(7月の改稿)

詩が個人の肉体と同じくらいつつましやかで それにもかかわらず 人間の肉体同様に 宇宙全体に匹敵するという 両極性を貫く一本の棒が私である繰り返し見てきた魚の夢 しかしどこか傷ついているらしく 魚たちが巨大化している 幾百万のキリストの群れ 私には…

惑星(7月の改稿)

恐怖こそが問題だった 夢の皮を一枚一枚めくっていくだけではすまされない 夜の街 凍れる肉體月光こそが恐怖だったぼくの頭のなかには海があって ひとつの惑星が浮かんでいる なんて余白の多い惑星だろう! 孤独な惑星は余白に囁かれる言葉を待っている冬の…

鯨(七月八日の改稿 短縮版)

共謀罪で目の前の人間が警官に連れ去られていく現場を見た。発言の内容に引っかかるものがあったのである。警官がそれを具体的に指摘したとき、彼は「しまった!」という顔をしたが、直ぐに警官に従って去って行った。しかしそれが「凍った鯨の夢」とどう繋…

鯨(七月八日の改稿)

共謀罪で目の前の人間が警官に連れ去られていく現場を見た。発言の内容に引っかかるものがあったのである。警官がそれを具体的に指摘したとき、彼は「しまった!」という顔をしたが、直ぐに警官に従って去って行った。しかしそれが「凍った鯨の夢」とどう繋…

シュタイナー講演録『人間の魂と動物の魂』1910(明治43)年11月17日#5

Gewiß, es ist wieder kinderleicht, vom Standpunkt einer Wissenschaft, die glaubt, auf dem festen Boden der Naturwissenschaft zu stehen, bloß gegen den Ausdruck > etwas einzuwenden. 確かなことは、 自然科学が堅固な領土の上に立っていると信じ…

魂の機械(七月の改稿)

淋しい 秋の 魂の機械に 真珠貝のキイを叩く 青い指先 霧深い 薄暮の指令〈1〉魔女キルケを探し出し 豚に変えてもらうこと 〈2〉ルターの信仰義認・ミュンツァーの律法義認・ノマの行動義認 すべてを蹴飛ばし 阿鼻叫喚の石段を駆け下ること 〈3〉処女水に…

決闘(七月の改稿)

ポットのお湯でインスタント珈琲を淹れていた朝、時代がかった大袈裟な身振りで愛について語る安藤君を思い出し、それがなぜか「ゴーガンダンテス」のキャラクターに重なった。少し滑稽で愛すべき伊達男たち。やはり死すべき運命だったのか。ゴーガンダンテス…

復活(七月の改稿)

白昼の屍は自らの力で復活する 降りしきる雨の中で あらゆる紙と文字を溶かしてしまう輝く雨の中で白昼の屍は自らの力で復活する䖝 苔生す 古代図書館の闇の中で 巨石の圧力を一身に引き受けながら霧深い クスコの山頂で 自らの心臓を鷲掴みにしながら屍たち…

教會(七月の改稿)

夜 孤独者 戦場の犬たち 帰宅した傭兵を待つものは 雨の降り続けるテレビが一台われわれはどこにいても だれと一緒でも孤独だから あらゆる空間にテレビが現れる われわれの広場には巨大なテレビがあるわれわれは生まれつき傷ついているのだ 傷ついた犬のよ…

天使病(七月の改稿)

1少しずつ読んでいる『二十歳の原点』が69年6月に近づいていく。山本太郎への言及を確認したい気持ちになって読み始めたのだが。4月16日の日記に山本の詩『かるちえ・じゃぽね』を讀んだ記述がある。『山本太郎詩全集』を買っておいてよかった。すぐ…

欲望(改稿#2)

S博士によれば 特定の欲望が特定の器官に関わるという なるほど 脳髄の欲望 眼球の欲望 四肢の欲望もある われわれには白日下の意識化ができないだけなのだ愛の欲望は(高次の身体における) 心臓付近の器官に関係しているに違いない *音楽は耳の欲望が生み…

鯨 (改#2)

『共謀罪』で目の前の人間が警官に連れ去られていく現場を見た。発言の内容に引っかかるものがあったのである。警官がそれを具体的に指摘したとき、彼はしまったという顔をしたが、すぐに警官について去って行った。しかしそれが「凍った鯨の夢」とどう繋が…