アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

惑星(第三稿)

恐怖こそが問題だった 夢の皮を一枚一枚めくっていくだけではすまされない 夜の街 凍れる肉體 月光こそが恐怖だったぼくの頭のなかには海があって ひとつの惑星が浮かんでいる なんて余白の多い惑星だろう! 孤独な惑星は余白に囁かれる言葉を待っている冬の…

夏(第三稿)

ベートーヴェンの謹厳な面持ちで目が醒める 夏の朝 饒舌な光 水蒸気の遠近法 初歩のブルース・スケール たどたどしい 雲の階梯 正午の影を踏む ヨハネス・ケプラーの頬笑み 逃げ水の涙は盬辛い 鸚鵡貝の唇 泥蝉の幼生 の老いた背中を割り 抜け出てくる 死美…

ヒュポテシス(古伝梗概) 第四稿

詩が個人の肉体と同じくらいつつましやかで それにもかかわらず (人間の肉体同様に) 宇宙全体に匹敵するという 両極性を貫く一本の棒が私である繰り返し見てきた魚の夢 しかしどこか傷ついているらしく 魚たちが巨大化している 幾億万のキリストの群れ 私…

ヤーコブ・ベーメとその敵

1自分の中に入っていく糸口が見付からない? 自分の中に入って行くことはラクダが針の穴を通るよりも難しいと言われる 頻繁に涙が出てくる ぼくはラクダのように涙腺を通って自分の中に入って行かなければならない君は子どもにかえって天の高いところで下界…

シュタイナー講演録『人間の魂と動物の魂』1910(明治43)年11月10日#17

In diesem Ausgestalten erkennen wir die Wirksamkeit des Geistes an, この(ヤドカリの)形成行為にわれわれは靈のはたらきを認めるのです。und in dem Dabeisein des Tieres bei diesem Ausgestalten erkennen wir das seelische Leben des Tieres. そし…

シュタイナー講演録『人間の魂と動物の魂』1910(明治43)年11月10日#16

Geradeso wie die Mensch die Fähigkeit, die zweiten Zähne zu bekommen, auch nicht erst erwirbt 人間は第二歯(永久歯)を得ることができますが、 それが最初には現れてこないことと全く同様に、 - er hat sie, wenn auch die zweiten Zähne erst später…

鳥(第三稿)

鳥が飛ぶ! 狂った遠近法の中を 苦しい風の抵抗の中を 鳥が飛ぶ!世界の延長の涯ての 燃え尽きる時間の縁を 鳥が飛ぶ!風の中に揺れる陽炎 歷史の消失点を探す 金色の瞳を見開いて 鳥が飛ぶ!重力を支配する 否定の霊たちを震撼させる 怖ろしい叫び声をあげ…

鳥(第二稿:現時点決定稿)

鳥が飛ぶ!狂った遠近法の中を 苦しい風の抵抗の中を鳥が飛ぶ!世界の延長の涯ての燃え尽きる時間の縁を鳥が飛ぶ!風の中に揺れる陽炎 歷史の消失点を探す 金色の瞳を見開いて鳥が飛ぶ!重力の支配 否定の霊たちを震撼させる 怖ろしい叫び声をあげながら鳥が…

福音(第六稿)

1S博士によれば人間が靈感を感受できる期間は一月のうちの半分にすぎないと言う。ぼくはすでにその半分を逃したようだ。自分を追い立てる情熱の正体も分からなくなってしまった。たとえば”四本の手のためのピアノソナタ”。モーツァルトなら躊躇することもな…

福音(第五稿)

1S博士によれば人間が靈感を受けられる期間は一月のうちの半分にすぎないと言う。ぼくはすでにその半分を逃したようだ。自分を追い立てる情熱の正体も分からなくなってしまった。たとえば”四本の手のためのピアノソナタ”。モーツァルトなら躊躇することもな…

暗喩(第二稿)

1輪廻転生説の最大の謎は、人間がそれだけ(繰り返し繰り返し)悲しい目に遭いながら、なぜ再度地上に生まれてくる決意を持ちうるのかということだった。しかしその謎=問い自体にすでに答えが隠されていたのだ。彼岸で希望を見る。見たのだ。死が死では無い…

私の天使に(第四稿)

私は詩論を読む。戦後詩人たちの輝かしい言葉*。しかし私自身には詩論・詩学を信じる気持ちは毛頭無く、ほんとうはそこにある言葉にしてはいけないものの存在が詩を支えているのだと知っている。たとえば今日のように冷たい曇天の窓から射す薄日が床に落とす…

暗喩(「死の隠喩」改稿)

1輪廻転生説の最大の謎は、人間がそれだけ(繰り返し繰り返し)悲しい目に遭いながら、なぜ再度地上に生まれてくる決意を持ちうるのかということだった。しかしその謎=問い自体にすでに答えが隠されていたのだ。彼岸で希望を見る。見たのだ。死が死では無…

福音(第四稿)

1S博士によれば人間が靈感を受けられる期間は一月のうちの半分にすぎないと言う。ぼくはすでにその半分を逃したようだ。自分を追い立てる情熱の正体も分からなくなってしまった。たとえば”四本の手のためのピアノソナタ”。モーツァルトなら躊躇することもな…