アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

2016-08-29から1日間の記事一覧

惑星(第三稿)

恐怖こそが問題だった 夢の皮を一枚一枚めくっていくだけではすまされない 夜の街 凍れる肉體 月光こそが恐怖だったぼくの頭のなかには海があって ひとつの惑星が浮かんでいる なんて余白の多い惑星だろう! 孤独な惑星は余白に囁かれる言葉を待っている冬の…

夏(第三稿)

ベートーヴェンの謹厳な面持ちで目が醒める 夏の朝 饒舌な光 水蒸気の遠近法 初歩のブルース・スケール たどたどしい 雲の階梯 正午の影を踏む ヨハネス・ケプラーの頬笑み 逃げ水の涙は盬辛い 鸚鵡貝の唇 泥蝉の幼生 の老いた背中を割り 抜け出てくる 死美…

ヒュポテシス(古伝梗概) 第四稿

詩が個人の肉体と同じくらいつつましやかで それにもかかわらず (人間の肉体同様に) 宇宙全体に匹敵するという 両極性を貫く一本の棒が私である繰り返し見てきた魚の夢 しかしどこか傷ついているらしく 魚たちが巨大化している 幾億万のキリストの群れ 私…