アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「人智学、その本質および哲学的根拠について」 ベルン 1920年(大正9年)7月8日;独逸語の勉強 #39

Da mußte denn von mir, それではここで私自身についてお話ししなければなりません。ich muß das schon sagen, これだけは述べておかなければならないのです。durch Jahrzehnte hindurch ein hartnäckiger Kampf geführt werden gegen den Kantianismus - ei…

「人智学、その本質および哲学的根拠について」 ベルン 1920年(大正9年)7月8日;独逸語の勉強 #38

Meine sehr verehrten Anwesenden, 敬愛するご臨席のみなさん、was so als Wesen der Anthroposophie geschildert werden darf, kann man in einem gewissen Sinne durchaus auch philosophisch rechtfertigen. このように人智学の本質として表現されるべき…

シュタイナー批判と反批判

メンション失礼します。論旨がよく分かりませんが、シュタイナーに関心の深い自分は、あなたのツイート(RT)に触発されて、いくつかツイートしました。誤解と失礼があるかも知れません(恐らくあるでしょう!)。よかったらお読み下さい。 https://t.co/E…

ウィトゲンシュタイン「大洋に浮かぶ小島について」

「論理哲学論考」の中国語訳。日本語版の刊行は1968年だが、中国語版は1927年に出ている。 pic.twitter.com/wujeXuK0KB— armchair anthroposop (@longtonelongton) 2015, 10月 28 ウィトゲンシュタインはこの(ウィーン)學団の人々と会う以前から、この學團…

青い妖精の池 (ハイネに捧げる)

巨人はロリータを肩に乗せて歩き始めました。「白鳥の乙女よ。 決してその羽衣を無くさないでください。 あなたたちに風が必要なように、 わたしには眠りが必要だ。」巨人は深い眠りの池に向かって歩いて行きました。 青い妖精たちの棲む池です。「いいえ。 …

福音 第二稿

S博士によれば人間が靈感を受けられる期間は一月のうちの半分にすぎないと言う。ぼくはすでにその半分を逃したようだ。自分を追い立てる情熱の正体も分からなくなってしまった。たとえば”四本の手のためのピアノソナタ”。モーツァルトなら、躊躇することもな…

「人智学、その本質および哲学的根拠について」 ベルン 1920年(大正9年)7月8日;独逸語の勉強 #37

Weil ich einmal mit meinem Sinn,mit meinem Verstande und Gemüte und mit meiner Empfindung bei diesem Lebensereignis war,kann ich es mir hervorzaubern. かつて、 私が、 この人生の出来事を、 私の感覚と、 私の理性と、 私の心情と、 私の感情をも…

福音

S博士によれば人間が靈感を受けられる期間は一月のうちの半分にすぎないと言う。私はすでにその半分を逃したようだ。自分を追い立てる情熱の正体も分からなくなってしまった。たとえば”四本の手のためのピアノソナタ”。モーツァルトなら、躊躇することもなく…

「人智学、その本質および哲学的根拠について」 ベルン 1920年(大正9年)7月8日;独逸語の勉強 #36

Diejenigen haben es leicht, meine sehr verehrten Anwesenden, die über ein solches Buch lachen, 敬愛するご臨席の皆さん、 このような書物を嘲笑することは容易でしょう。weil sie nicht durchschauen all die Mühe, die da aufgewendet, all die Wege,…

聖アウグスティヌスとネオプラトニズム ーロゴスが肉となって、私たちのなかに宿った

「わたしは悪がどこからくるのかを探して、そこから抜け出せなかった。」 「私は真理を発見することなく、死の怖れによってさいなまれていた。」聖アウグスティヌスが「信仰」とともに求めていたのは真理であり、教義と共に形而上学であった。そしてそれとと…

「人智学、その本質および哲学的根拠について」 ベルン 1920年(大正9年)7月8日;独逸語の勉強 #35

Dieses Durchschauenlernen der menschlichen Natur, この人間の本質を見抜く學は、meine sehr verehrten Anwesenden, 敬愛するご臨席の皆さん、dieses unmittelbar konkrete, empirische Verbinden des Geistigen mit dem Materiellen, このように直接的、…

「人智学、その本質および哲学的根拠について」 ベルン 1920年(大正9年)7月8日;独逸語の勉強 #34

Licht und Schwere, 光と重さ、Licht und Gravitation sehen wir miteinander im Kampfe 光と重力が互いに闘争していることを、 われわれは見るのです。 - das kosmische Licht, die kosmische Gravitation ist im Menschen wirksam bis zum Zahnwechsel hin…

感情の観念論ープロティノス「魂は罪を犯しえない。ではどうして罰があるのか?」

・・・プロティノス的綜合はキリスト教思想に対し、ある教義を(ある人びとの言うように)提供するのではなく、一つの方法、一つの物の見方を提供するのである。そしてプロティノスの体系を活気づけるのは神への情熱である。けれどもまたプロティノスはギリ…

「人智学、その本質および哲学的根拠について」 ベルン 1920年(大正9年)7月8日;独逸語の勉強 #33

Jetzt lernt man erkennen, 今やわれわれが認識するようになることは、wie dasjenige,was gewissermaßen die Zahne heraustreibt, 歯に対して、 言うなれば、 生えるように追い立てるもの、was im menschlichen Organismus arbeitet, 人間有機体において働い…

クリヴィツキー「スターリン時代 元ソヴィエト諜報機関長の記録 第2版」

わたしは、レーニンの密接な同志たちが、かれらの創建した国家の手にかかって死んでいく間に、スターリンが完全な権力の座に登っていくのをみた。けれども、他の多くの人たちと同様、わたしは、指導者層の誤謬がどのようなものであろうとも、ソ連邦は、今な…

「日本の農村・農業が壊されていった過程」 宇沢弘文

宇沢: 戦後、日本の農村を壊していった過程には、いまから考えると市場原理主義的な考え方が基調としてあった。一九六一年の農業基本法は、農業、とりわけ水田耕作に、アメリカで當時流行していた耕作形態を取り入れようとするものだった。農水省が中心にな…

フィヒテ的自我「自我には外が無い」

私:物の性質は私自身の状態の感覚に由来し、物が充たしている空間は直観に由来する。思考によって二つのものは結合される。前者は後者へ運び移されるのである。・・・すなわち、本来私の状態にすぎないものが空間のうちに定立されることによって私にとって…

ナグ・ハマディ文書におけるグノーシス

ナグ・ハマディ文書の大半はグノーシス主義文書である。もちろん、一口に「グノーシス主義」と言っても、西暦紀元の前後のユダヤ教の周縁に登場したものから始まって、三世紀以降に隆盛を見るマニ教まで、複雑多岐にわたる。ナグ・ハマディ文書には、すでに…

フィヒテ「人間の使命」ー自我の世界

靈:・・・従ってわれわれは当面空間そのものだけを問題にし、単なる意識からの空間の成立を明らかにしさえすればよいであろう。靈:物は代理人を通じて汝に現れるのではない。現に在り、また在りうる物を汝は直接的に意識するのである。汝が意識するもの以…

「死の経済學」と空爆の思想

内橋: 戦時のKill-Ratio、平時のDeath-Ratio。通底しているのは、人間の「生命」をも「効率」という天秤にかけて篩い分ける手法ですね。「最小の費用で最大の効果を」という冷厳な合理主義は、戦時下でも平時でも、そして人間の生命も生存条件も、決して例…

ナチズムは死なないことについてのメモ#3(創成期ナチス党と大衆の気分)

当時のナチス党の活動には、後年のナチスの恐怖政治を認知できるような徴候があったであろうか、とフェルプスはたずねる。たしかに、この時代からナチス党の集会は暴力に支配されており、反対派に対するテロルははげしかった。途方も無い嘘でかためられた毒…

ナチズムは死なないことについてのメモ#2(創成期ナチス党におけるヒトラーの演説)

大衆はヒトラーやナチス党の演説のどのような個所に拍手喝采したであろうか。フェルプスによれば、第一にはユダヤ人に対する攻撃。ついで、臆病でかつ腐敗した政府に対する攻撃。つぎは、革命を起こした「犯罪人」、ヤミ商人や暴利行為者、ベルリンからの分…

キング牧師のベーシック・インカム運動

山森: では、今私たちがBI(Basic Income)を要求するときにどうしても抜いてはいけないのは何かと言えば、それは60,70年代のBI要求なのではないかと思っています。なぜならそれが、私の理解では、昨今のBI議論の大きな根っ子になっているからで…

マクナマラ、アラン・エントホーフェンと「死の経済學」、あるいは「市場原理主義と東京大空襲」

当時の労働党はかなりラディカルで、ベヴァリッジの案を具体化するため、・・・1948年にナショナルヘルスサービス(NHS)として理想に近い形で実現することになったわけです。これはすべての国民(居住外国人を含めて)が無料で医療サービスを受ける…