アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

2016-08-02から1日間の記事一覧

私の天使に(第四稿)

私は詩論を読む。戦後詩人たちの輝かしい言葉*。しかし私自身には詩論・詩学を信じる気持ちは毛頭無く、ほんとうはそこにある言葉にしてはいけないものの存在が詩を支えているのだと知っている。たとえば今日のように冷たい曇天の窓から射す薄日が床に落とす…

暗喩(「死の隠喩」改稿)

1輪廻転生説の最大の謎は、人間がそれだけ(繰り返し繰り返し)悲しい目に遭いながら、なぜ再度地上に生まれてくる決意を持ちうるのかということだった。しかしその謎=問い自体にすでに答えが隠されていたのだ。彼岸で希望を見る。見たのだ。死が死では無…

福音(第四稿)

1S博士によれば人間が靈感を受けられる期間は一月のうちの半分にすぎないと言う。ぼくはすでにその半分を逃したようだ。自分を追い立てる情熱の正体も分からなくなってしまった。たとえば”四本の手のためのピアノソナタ”。モーツァルトなら躊躇することもな…