アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

聖ギロチン(七月の改稿)

同僚のK氏。
夢の中の私にはこれから起こる怖ろしいことがわかっているらしい。
夢を見ている私にはその怖ろしさだけが伝わってくる。
それはおそらく地面を通して。
肥満気味のK氏のズボンの股間が膨らんできた。
私は、ああ、始まってしまったと思う。
K氏の顔に浮かぶ激しい動揺の表情。
そして、K氏全体が膨らみ始めた。

同時にK氏の身体は、風船のように宙に浮いたようだ。
K氏の顔が膨張し続ける。
破裂するK氏。

しかし、彼の血は四散せず、大きな血のプールになって宙に浮いたままだ。
宙空に浮かんだ半球状の血のプールに、肉に突き刺さった骨と化したK氏がその上体を露わにしている。
それは大きな骨付き肉の塊のようだった。

  ★

罪は死骸の中にしか存在しない
われわれを救うことができるのは
ある聖なるものだけだ
記憶の壊変
不死の神々は質量の中に降り立ち
元素となった
詩的機械が轢殺していく
K氏とK氏とK氏の魂
二十一世紀の時間軸は既にへし折れている

鳩殺し
復讐の女神たち

「何故? 誰が世界を、こんな風にしてしまったんでしょう」

記憶の半減期
あらゆる死骸は忘却の元素でできている

  ☆

聖ギロチンは遅刻してやってくる