アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

聖ギロチン

同僚のK氏。夢の中の”私”にはこれから起こる怖ろしいことがわかっているらしい。夢を見ている”私”にはその怖ろしさだけが伝わってくる。それはおそらく地面を通して。肥満気味のK氏のズボンの股間が膨らんできた。”私”は、ああ、始まってしまったと思う。K氏の顔に浮かぶ激しい動揺の表情。そして、”K氏全体”が膨らみ始めた。同時にK氏の身体は、風船のように宙に浮いたようだ。K氏の顔が膨張し続ける。破裂するK氏。しかし、彼の血は四散せず、大きな血のプールになって宙に浮いたままだ。宙空に浮かんだ半球状の血のプールに、肉に突き刺さった骨と化したK氏がその上体を露わにしている。それは大きな骨付き肉の塊のようだった。

罪は死骸の中にしか存在しない
われわれを救うことができるのは
ある聖なるものだけだ
記憶の壊変
不死の神々は質量の中に降り立ち
元素となった
詩的機械が轢殺していく
K氏とK氏とK氏の魂
二十一世紀の時間軸は既にへし折れている

鳩殺し
復讐の女神たち

「何故? 誰が世界を、こんな風にしてしまったんでしょう」

記憶の半減期
あらゆる死骸は忘却の元素でできている
聖ギロチンは遅刻してやってくる