アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

自然物は自己内に自己目的をもつものと見なされるべきで、 観念的な統一体として前提された理念が自己を動かすのです。(ヘーゲルによるアリストテレス自然学講義)

ここには真の自然概念が見られます。
ある事物の自然(本性)とは自己同一の一般的なものであり、
それが自己からつきはなされ、
べつのものとして実現され、
再生される。

が、
実現されたものは、
それとして根底におかれた目的ないし類一般であり、
実現される以前からそこに可能性としてあったのです。

人間が人間をうむとき、
うみだされたものはうみだすものでもあり、
 ー産物は生産力をもっている。

真理とは、
自分を実現するとき、
実現体と概念とが一致することであり、
ここで概念とはうみだす力をもつことです。

自然物は自己内に自己目的をもつものと見なされるべきで、
観念的な統一体として前提された理念が自己を動かすのです。

生物の自然(本性)は、
自己のうちに根源的な本質をもち、
それにしたがって活動することにあるので、
その活動から生まれた次代の生物は、
今度はまたつぎの世代にたいして先行するものとなり、
 ーこうして、
生物は自分自身だけをうみだすのです。

長谷川宏ヘーゲル哲学史講義・中”、B、アリストテレスの哲学、二、自然哲学。河出書房新社1994年2月20日再版)