アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

泳ぐ猫

眼下に巨大な水面が広がっていて、透き通った水の中には巨大な鯉が何匹も泳ぎ廻っている。子どもが落ちたら食べられてしまうだろう。私はそう考えて怖れた。すると、猫が二匹、水に落ちた。いや、猫たちは落ちたのではなく、飛び込んだのである。彼らは水中を猛スピードで突進するように泳ぐ。鯉をつかまえて食べるつもりなのだ。たくさんの小さな鯉もいたので。私は猫たちが巨大な鯉に食べられてしまうと思い、水に飛び込んだ。しかし水は浅く、私は水中に半身を浸かりながらずぶ濡れになっただけだった。私の意図を察したのか、猫たちが素早く水面から跳ね上がり、水面の広がりを断つ壁面を蹴って、地上に上がろうとしたところで目が醒めた。