アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

ヘーゲル「哲學史講義 中巻」A.プラトンの哲学、二.自然哲学

哲学において藭、
存在、
空間、
時間、
等々を出発点にとり、
それらについてかたろうとすれば、
それらの内容はその本性からして直接的であり、
直接的なものとしてしかあらわれないことを知らねばならない。

また、
その定義は、
直接にあらわれているかぎりで、
まったくあいまいであることを知らねばならない。

つまり、
藭はまだあいまいであり、
思想的に空虚なのです。

つぎにプラトンは事態をあきらかにすべく前にすすみ、
ここにはじめて理念があらわれます。
プラトンの哲学的思索から目をそらしてはいけません。

藭は秩序のほうをすぐれたものと考えた、
プラトンはいう。
いかにも素朴なもののいいかたです。
わたしたちなら、
藭の存在をまず証明すべきだといい、
目に見えるものがどんなものかはっきりしてくれというでしょう。
が、
プラトンはまったく素朴な考えでそういっているので、
のちにそこから証明されてくるものがはじめて本當の定義、
理念の定義といえるのです。