アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

科学と人智学のメモ

1)光は霊界より来たる、と高橋先生は言った。

特殊相対論によれば、光の媒体と考えられていた宇宙に満ちるエーテルは、相対速度を持たない。物質的な空間を超絶した、絶対的な速度のみを持つ。
この現代科学の発見は、むしろ以下のように言うべきである。
すなわち、光の媒体であるエーテル空間は、物質的な空間に対して相対的な(対等の)空間ではなく、絶対的・超絶的な空間である。
マイケルソン・モーレイの実験結果はエーテルの存在を否定したのではなく、エーテルの物質に対する超絶性を証明したのであると。
ここで言うエーテル空間は、かつての物理学者たちが想定していたエーテル空間のことだが、シュタイナーの言う光エーテルの空間と同一視してみる。

シュタイナーによれば霊的な空間であり天使やキリストが住まうエーテル空間と物理的な空間は、どこか別の世界同士なのではなく、密接に重なり合っている。
そして、その二空間相互の関係が、特殊相対論が説明しようとする光と物質空間の関係に表れている。
霊的な空間は物質空間に対して超越性を示す。
しかし、光が物質空間に届くように、霊的空間からの影響は、常に、絶えることなく、物質空間にも届けられている。

2)量子力学的な存在は、波動関数で表される。これは、既に、現代科学の物質観が、古典的な唯物論を超え始めていることを示しているのではないだろうか? 物質の根拠である素粒子が既に素朴唯物論的な存在論を否定し始めているのである。