アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

詩的直観とオカルティズムの符合:木原孝一における空間としての時間

ところで、時間とは三次元空間に密接した第四次元の空間である。
時間の存在は空間と共にあり、空間のないところに時間は存在しない。
いわば、時間は、過去、現在、未来の空間にほかならない。 
三次元までの空間が眼のとどく空間であるとすれば、不可視な奥行きを持った空間である。
したがって音楽は、眼に見えない空間の経験に構造を与えたものだと云ってよい。

   詩と時間「現代詩入門」木原孝一

  ☆

二十世紀初頭、アインシュタインが特殊相対論として定式化した通り、古来より主張されてきたオカルト的時間論=空間としての時間・時間と空間の等価性が、ここでは詩人の直観として数学的と言っていいくらいに簡潔に表現されている。音楽=眼に見えない空間における経験の構造化という表現は、実に美しいものです。そして、「眼に見えない空間」=「アストラル空間」と置き換えると、この主張はまさしくシュタイナーの音楽論に一致するものでもあります。