アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

ドイツ語とカントを勉強しようと決意する

夏休みに入る。これからは、ドイツ語を毎日30分以上は勉強することを決意する。5年くらいかければ、ものになるだろう。学生の頃、大学院の試験に通るまではやったが、その後、時間が無くなり、諦めてしまった。しかし、本棚をみると、当時の参考書が生き残っていた。掃除機をかけ、アルコールで拭いて、机の上に移動した。

新独英比較文法

新独英比較文法

昨日から、読み始める。英語とドイツ語の歴史的な変遷から話が始まり、読み物としてもすこぶる面白い。三好助三郎先生の講義が聴きたかった。まだ絶版になっていないのはうれしい。不朽の名著とはこのことか。

上巻(新ドイツ語の基礎)。この本は、書き込みによると、学生時代に一応読了しているようだ。更に、中巻(ドイツ文訳読の研究)、下巻(ドイツ文法の要点)と続く。昭和初期に出版された「独逸語大講座」を戦後まもなく全面的に改編したものらしい。「本講座において想定された読者の学力程度は、中学卒業程度、乃至専門学校初級在学程度の学力を念頭に置いて編したものであります。・・・ 語学というものの好きな、且つあらゆる知識・文化・思想・情操の問題に対して深き関心と野心を抱いている学徒を眼中において編したものであります。この点を特にご理解願わないと、例えば文例や例題をあげるにも、語学力以外に、人生・社会・人心に関する或る種の深い物の感じ方を刺激するように特に吟味して編纂した私の努力が、水泡に帰するどころか、反って、勉学の邪魔になると言ったような誤った批判を受ける心配があります。・・・ 昭和二十二年二月九日 長野県西筑摩群吾妻村妻籠にて 著者 識」とある。実にいいじゃないですか。

辞書は、以下を購入。

アクセス独和辞典 第3版

アクセス独和辞典 第3版

ドイツ語は、やはりシュタイナーを原書で読むことが最終的な目標である。今は、シュタイナーも英訳が進んでいて、重宝しているが、すべて主題別に編集されたものなので、本来の原著全集と、近年出版された項目別出典インデックスを活用できるようになりたいということ。もちろん、ドイツ語ができるようになると、活用できる文献も飛躍的に増えるのは確かだ。独逸の出版事情は素晴らしいに違いないと憧れる。

カント「純粋理性批判」をまず英訳で読んで、自分なりに納得するのが目標だが、その前にいくつか、参考書を読む。本体は難しすぎるので。

最初に以下を読んだ。かなり以前だったので、ほとんど忘れてしまっていたが、カント批判哲学の構成なども一通り説明してある。

純粋理性批判」に取りかかる前に、その要約的な「プロレゴメナ」を読み始めることにした。これも英訳版。日本語訳は私には分かりにくいし、誤訳も多いと言う。しかし、原著の語順を尊重しながら訳したという英訳版を読んでいると、正しい日本語訳など不可能では無いかと思える箇所が多く、翻訳者にむしろ同情してしまう。以下の英訳版プロレゴメナを読み進んで、本文の結論を残すのみとなった。

しかし、プロレゴメナを読んでも、カントの文体はすこぶる晦渋で、ものになった感じがしないので、以下の本に助けを求めた。これは、当然、カント本文に比べれば、わかりやすい参考書で、当面はGardner氏の掩護射撃を得て、匍匐前進を続けようと思う。

Routledge Philosophy GuideBook to Kant and the Critique of Pure Reason (Routledge Philosophy GuideBooks)

Routledge Philosophy GuideBook to Kant and the Critique of Pure Reason (Routledge Philosophy GuideBooks)

今日も蒸し暑い。しかし、田舎での樹木に囲まれた生活は哲学に向いている。二十歳にもどったつもりで、勉強し直そう。

ちなみに、ルドルフ・シュタイナーに関しては、ケンブリッジ版の厚手の哲学辞典にも、オックスフォードの小ぶりの哲学辞典にも、岩波の哲学辞典にも項目があり、それぞれの記述の違いにも興味深いものがあるので、また別の機会に書きたいと思う。

ついでに、以下の本も面白いので、ここに紹介しておく。哲学的読書ガイドとして使うと良いのでは。ドイツ語圏の出版物の水準を垣間見させてくれる。日本だったら、マンガ哲学入門になってしまうところを、本場ドイツだとこうなる。この著者達は、大学で、こんな板書をしながら講義するのだろうか。

カラー図解 哲学事典

カラー図解 哲学事典