アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

木原孝一「民族の詩学」詩の原点と展開(飯塚書店・1975年)

古代人にとっては、神霊、精霊に祝詞をあげ、その霊魂を鎮め、人間の憧憬や希望をそのうちに含めて祈ることは、同時に自分のうちなる霊魂の汚れをはらい、鎮めることであった。それが祝詞に見られる詩の原像であり、いま文明の悪霊に汚され、悩まされる現代人にとっても、ますます重要視されこそすれ、過去のものとして無視し去ることのできない詩の原像なのである。

木原孝一「民族の詩学」詩の原点と展開(飯塚書店・1975年)