_____以下は内閣府原子力委員会のサイトより引用_____
第38号 原子力委員会メールマガジン 2009年9月11日号
「真夏の昼の夢」原子力病 田中俊一
「このところ原発の稼働率は、90%を越えて韓国並みになってきた。全発電量の
40%以上という目標も既にクリヤーし、温室効果ガスの削減量も2005年に比べて
1億トンを越し、堂々の実績である。六ヶ所の再処理工場もいろんなトラブルに
見舞われたが、ようやく本来のパフォーマンスを達成し、抽出されたPuはMOX燃
料に加工されて、プルサーマル軽水炉で順調に利用されている。使用済燃料を貯
蔵する中間貯蔵施設も完成し、暫くは使用済燃料の行く先を心配することはなく
なった。あれこれの困難の時を越えて、原子力発電はようやく落ち着き、エネル
ギーの供給と温室効果ガス削減にも確かな実績を残している。こうなると不思議
なもので、原子力発電に対する国民やメディアの見方も変ってきたようである。
国民の信頼も高まり、高レベル廃棄物の処分場もまもなく稼動ができそうだ。古
い原発のリプレースも、新規増設も順調に進展している。なんと心穏やかに原子
力の仕事ができる時代が来たものである。
いやいや、落ち着いていられるのは一時よという天の声。地球温暖化の緩和、エ
ネルギー安定供給になくてはならない原子力発電をこれからもずっと使ってゆく
ためにはまだまだ課題は山積だよ、と。六ヶ所で処理しきれなかった使用済燃料
や、使用済MOX燃料の再処理のための施設の検討が待っている。高速増殖炉サイ
クルもウラン資源を使い切ってしまう前までには完成させなければならない。改
めて気合いを入れ直して取り組まねばならない、と言うことか。廃棄物処理の点
では分離・変換を含めてマイナーアクチニド(MA)をどうするかも重要な課題であ
る。国際的には、核拡散抵抗性のある技術も要求されるかも知れないし、日本独
自の考えで使用済燃料の処理ができるかということも考慮しておかねばならない。
国際社会が受け入れる処理技術ということも重要な要件になるかも知れない。さ
らに、高速増殖炉の導入ということになれば、軽水炉と高速増殖炉の燃料再処理
を最適化しなければならない。あれこれ考えると、六ヶ所再処理工場の技術の上
に、さらなる特別の味付けが必要になりそうだ。
こう考えると、使用済燃料の処理システムを検討するためには、先ず基本となる
技術をしっかり固めることから始めなければならない。例えば、MAをどのように
処理し、どう扱うかによって、処理システムのスペックは大きく影響される。MA
の抽出剤の開発から、MAの基礎化学、物性まで戻った基礎的な研究開発からとな
ると民間の出番はかなり先になる。原子力機構が担うしかあるまい。軽水炉サイ
クルに係る当面の問題が解決しているので、50年先、100年先を見通した課題に、
じっくり取り組める余裕がある。暫くは、六ヶ所再処理工場と中間貯蔵で使用済
燃料の扱いに困ることはない。取り敢えず20年ぐらいは、様々な可能性にチャレ
ンジすればよい。大急ぎで技術を選択する必要はない。大事なことは、本当に使
える技術の開発だと言うことを忘れずに一歩一歩着実に進めると言うことだ。原
子力の可能性を開拓するのは次の世代の仕事である。自由な発想で伸び伸びと原
子力の研究開発や利用を大きく展開できる新たな時代を築き上げてもらいたいも
のである。若い研究者達の顔が生き生きしてきたらしめたものである。」
暑い陽射しを避けて、庭先の木陰で香り豊かなSaza Special Blendコーヒーを片
手にのんびりと本を読んでいたら、いつの間にか転寝をしてしまったらしい。我
に返って思い起こすと、常日頃、こうあったらと願っていることである。なんと
幸せなひと時であったのかと思いつつ、かなりひどい原子力病に侵されていると
思うと苦笑がこみ上げてきた。
______以上内閣府原子力委員会サイトからの引用終了_______
______以下毎日新聞のサイトより貼り付け______
原子力規制委:田中氏など委員5人、閣議決定
毎日新聞 2012年08月24日 18時52分(最終更新 08月24日 19時12分)
政府は24日の閣議で、新たに発足する原子力規制委員会20+件の委員長に田中俊一・高度情報科学技術研究機構顧問(67)を起用するなど委員5人の人事案について、国会に提示した政府案通りに閣議決定した。政府は7月、人事案を国会に正式提示したが、採決時期が遅れ、発足は当初目指した9月3日より遅れる見通しになった。
委員長以外の委員は▽中村佳代子・日本アイソトープ協会プロジェクトチーム主査(62)▽更田(ふけた)豊志・日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門副部門長(55)▽大島賢三・元国連大使(69)▽島崎邦彦・地震予知連絡会会長(66)−−の4氏。任期は委員長の田中氏が5年、中村、更田両氏が3年、大島、島崎両氏が2年。
政府は7月26日、人事案を衆参両院に示したが、与野党に「田中氏は原子力ムラの住人だ」などの批判があり、差し替えを求める声が上がっていた。民主党は23日、前原誠司政調会長に一任し政府案を了承したものの、党内には反対意見が根強いほか、自民党などにも異論がある。【笈田直樹】
________以上毎日新聞サイトより貼り付け終了_______