・・・プルードンは、進んで、ルイ・ブランが「自由・平等・友愛」のスローガンを、「平等・友愛・自由」に逆転させたことを痛烈に批判する。
「ルイ・ブランは、ちょうど僧侶が死後に天国を約束するように、結社の後に自由を約束する。このような語順転換を行う社会主義がいかなるものでありうるかは、想像におまかせしよう」と皮肉を浴びせた彼は、平等よりも自由をはっきり優先させる彼の思想を次のように述べる。
「平等! 私はつねに、平等は自由の自然な果実であり、一方、少なくとも自由は、理論や強制の必要を持たないものであると信じていた。また私は、平等を生ぜしむるのは、分業、競争、信用、相互性といった経済的諸力の組織化、なかんずく教育、からであると信じていた。だがルイ・ブランは、そのすべてを変えてしまった」
平等に最重点を置く強権的社会主義者ないし共産主義者と、何よりも人間の自由を尊重し、自由に生きるアナーキストとは、世界観の基礎を全く異にするのである。
「世界の名著42:プルードン・バクーニン・クロポトキン」(中央公論社・昭和42年)所収「アナーキズム思想とその現代的意義」猪木正道・勝田吉太郎より