アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

そしてソフィストへ - 存在と対立する個別的意識に落ちた普遍・普遍的なものの否定としての個別化・それ自体である存在の廃棄 

・・・・精神は自分以外のところに本質を探す必要は無く、自分自身のうちに探せばよい。これまで自分とは違うものと見えていたものが実は思考なのであり、本質はむしろ意識そのもののもとにあるからです。が、存在と対立するこの意識は個別意識です。そして、個別意識の登場とともに実はそれ自体である存在は廃棄されている。というのも、それ自体である存在は、対立するものでも個別的なものでもなく、普遍的なものだからです。それは認識もされますが、今や、存在するものは認識のうちにしか無く、言い換えれば、意識に認識される存在以外のなにものでも無いのです。普遍的なものがこのように発展して、本質が全く意識の側に移行したありさまを表現するのが、ソフィスト達のさまざまな哲理です。普遍的なものの否定的な性質が発展したものとして、私たちはこの哲理をとらえることができます。

   ヘーゲル哲学史講義」第一章F.アナクサゴラス(長谷川宏訳)