・・・・プラトンはここで二つの原因、つまり、目的因と外的原因(化学的過程、機械的過程、等々)を明確に対比し、意識をもった人間の事例に即して二つを混同する愚を指摘しています。アナクサゴラスは目的因を立て、そこから出発するかに見えながら、それを直ちに放り出して全く外的な原因に目を向けます。
・・・・善(効用)や目的が存在のうちには無く、それを思い浮かべる人間にしかないという一面的な見方を捨て、この図式を離れてその本質を捉えようとすれば、そこに、全存在を貫く普遍的なもの、類的なもの、理念が現れる。これこそ真の原因であり、自分にかえっていく原因です。普遍的な目的とは、なにより第一に存在するものであり、運動の出発点でも帰着点でもあり、ー現実にあらわれる以前に目的として思い浮かべられるだけでなく、実在そのもののうちにあるものです。