アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

ヘーゲルと有機体思想 - 概念そのものが実在の形をとる

・・・・それは確かに経験の示すところで、それぞれの性質が自立していると言える。が、それは実在上のことで、概念からすれば、それぞれが関係し合い、切っても切れない内的なつながりができています。例えば生物に見られるつながりがそれで、そこでは概念そのものが実在の形を取っているが故に石や色とは話が違う。心臓を取り除けば、肺その他もだめになってしまう。脳が他の器官との統一のうちにしか存在しないように、自然もまた統一のうちにしか存在しないのです。

・・・・ふつうの物理学では、私たちへのあらわれを単純に否定して非感覚的なものを想定するという以上には進まない。が、哲学ではもっと積極的に、存在の本質そのものが普遍的だと考えるべきです。

      ヘーゲル哲学史講義」第一章F.アナクサゴラス(長谷川宏訳)