アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

2013-07-24から1日間の記事一覧

『エノク書』の重要性 ー ルーサー・リンク著 高山宏訳「悪魔」

四世紀までは『エノク書』は正典に含まれていて、ユダヤ人や初期教会の基督教徒たちにはよく知られていた。基督教の観念でまず『エノク書』中にあらわれたものは少なくない。「人の子」が「選まれし者」となって終末の日に審問者になるという観念もそうであ…

キリスト教徒による異教的芸術の破壊 ー ルーサー・リンク著 高山宏訳「悪魔」

ヴァザーリがその『芸術家列伝』(二版、1568年)の序文に痛烈な皮肉をこめて書いているとおり、キリスト教は、激しく、 また油断無く、 あらゆる罪のしるしの破壊と根絶に精を出し、 そのために、 卓越した彫像・・・・ 〔や〕無数の記念物、 碑銘など、 古…

異教の神々=邪悪なデーモン=悪鬼という新しい等式を作り上げたアレキサンドリアの弁神論者たち ー ルーサー・リンク著 高山宏訳「悪魔」

二、三世紀のギリシャ化されたアレクサンドリアの弁神論者たちは、 特に善でも悪でも無かったプラトン流のデーモンを堕落した悪の天使だと解釈している。 彼等がそうしたのは、 異教の神々=邪悪なデーモン=悪鬼という新しい等式をつくりたかったからである…

悪魔には歴史が無い ー ルーサー・リンク著 高山宏訳「悪魔」

悪魔には歷史がない。多くの仮面を持つが、顔無き仮面、それが彼の本質である。今日でもたとえばローマ教皇庁のラッツインガー枢機卿などは、 「キリスト教徒にとって悪魔は神秘的ではあるが、 リアルかつ個を持つものであり、 単に象徴的という存在ではない…