アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

(「二」、「対」をテーマとする)初夢

二本の色の異なる円筒が重なって立っている(上下に等分に二色に分かれた一本の円筒のように)。暗闇に浮かび上がっていたのはそれらが微光を発していたせいかも知れない。私にはこれが初夢だという意識があって、その色彩を記憶するように努力したはずだった。赤と青のような気もするが、そのような原色とはほど遠い、パステルカラーでも無い中間色だった。それからどうしたのか、記憶に欠落がありそうな気がする。左手に大きな山を眺望できる草原のような場所にいる。(登山)靴を脱いで靴下だけになっている。しかし片方が無い。少し前方の路肩のような場所に靴が置いてあって、その片方のなかにもう一方の靴下もあることに気がついた。(安心して)少し眠ったらしい。目が醒めると、周囲にだれか他にも寝ている人たちがいる。左手にある山の右隣の空間に雲が晴れて、もうひとつの大きな山が現れ始めた(それまで、右側にも山があったことに気がついていなかったことになる)。私はまた(夢のなかで、あるいは現実に)眠り込んで、夢を見た。詩の研究会のN氏と思われる人物と一緒に、蕎麦屋の前にいる。夜だと思われる。N氏は「入りましょう」と言ったようだ。私は空腹ではなかったので躊躇したが、天ぷら蕎麦なら食べたいような気持ちになった。なかに入ると、とても雰囲気のある店だった。満席だったがすぐに客が引けて、左手奥のテーブルが空いたので座る。そこでN氏と私の前にだれかが現れて会話したような気がする。しかし今(午後三時半)となってはもはや記憶が曖昧である。
  
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N氏は昨年、私に或る詩の会に入会するよう勧めてくれた。私は入会を躊躇して、今でも少し迷っているかも知れない(おりに触れてこの件を思い出す)。昨日の夕食は蕎麦で、私はしかしその前に軽い食事(いくら丼だった)をしていてそれほど空腹では無かった。この点では「前日の経験が夢になる」というフロイドのセオリーに従っていると思う。