アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

創世記(第二稿)

十三番目の使徒
お砂場で遊んでいるイエスを訪ねたとき
幼子イエス
父ヨセフの言いつけを忘れていたので
車座に座る十二人の灰に
ジョウロから水をかけて
泥人形を作った後だった
「原公園の土を掘ってはいけない」
エスは人形たちに息を吹き込んだ
紙芝居のおじさんが来た
夕となり
朝となった
第一日である

十三番目の使徒
ヨハネBを訪ねたとき
少年はどぶ川の上を飛ぶ
人魂に追われていた
夕となり
朝となった
第二日である

泥人形の十二使徒
ヘロデ王の飛行部隊に入隊したとき
原公園にはまだ
百体の屍は無かった
夕となり
朝となった
第三日である

大空襲の夜
ヨハネBは暗がりの路地で
少女サロメに口づけされた
夕となり
朝となった
第四日である

幼児たちの灰は
お砂場の砂と混じって
幼子イエスの到来を待っていた
夕となり
朝となった
第五日である

アダムはリンゴを囓りながら
ブランコで遊んでいた
夕となり
朝となった
第六日である

イヴは来ない
神様は紙芝居を廃業した
夕となり
朝となった
第七日である

  *

十三番目の使徒
青年イエスに口づけしたとき
ぼくらは路上のアヴァンギャルドだった

見よ
冬の雲の美しさ!