アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

心臓

雨は非我の見えない脚
そして心臓の形に集まり
血のように溢れてしまう
私の心から
繁茂する植物たちの匂い
緑の階梯が天まで延びて行き
見えなくなる
レントゲン写真
肩胛骨は先が尖っていて
巨神兵のようだ
私の肉体に隠れている巨神兵

質量因の憧憬するものは言葉?
「質量因は離陸に憧れているのです」
それはもっとも旧いものだから
地球の核に幽閉された
最古の原子たち
創造の最初の日に堕落した者
原子たちの祖先であり
今も親であり続ける
物質界の支配者
中世宇宙の中心
地球の核で
血を流し続ける
永遠に呪われた存在
否定の霊たちの総領は
永遠に否定され
否定し続けなければならぬ
かれらの血の温もりが
われらの温もりであるためには

  *

権力の惡を傍観する
私は諸現象の閉じた連鎖の一項となる