アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

友人には魚が見えない夢

大学時代の友人と川べりに来ている。梅雨時の今と同じようにほの暗い。友人が釣り竿を振り始めた。ここで釣れるだろうか。友人が針を投げた”ポイント”は、浅く、釣れそうに無い。私は別のよどみを指したようだ。魚は見えるだろうか。そう思っていると、今まで濁っていた川の流れが澄んだものになっていた。川底の地形がわかる。少し窪んで淀んだ辺りに、白地にオレンジの斑模様の錦鯉がいて、そこに黒っぽい同じくらいの大きさの魚が数匹かたまっている。私は友人に魚の居場所を教えた。しかし、彼には魚が見えない。自分で釣ろうと思って、振り返ると、路上に無造作に置いた私の荷物が散乱している。山旅の装備らしい。そこで私は竿を持っていないことに気がついた。