アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

驟雨

夏の雲の形をした激しい悲哀が
世界を包んだ
すべて形無きものは虚しい
あなたの悲しみには意味がある
それは死せる都市に繁茂する
植物たちのように
あなたの地下に埋もれた
祈りと欲望を
見えないものにする
 
 *

夜は
その白い顔を
美しく隠す
かえした掌で

驟雨
その音の無い足音
ピアノのように歩いてみせる
あなたの細い後ろ姿
夜は降りしきる性的な雨のなかにある