アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

「一般に人間は自由だと感じてゐるものである。」 フォイエルバッハ

一般に人間は自由だと感じてゐるものである。
そして人間は大して意味のない、
どうでも好いやうな状態にゐたりそうした振舞をしてゐる時だけは實際又通常の意味に於て自由である。
しかし彼の利害関係、
彼の幸不幸、
或は况して、
一定の存在或は非存在に過ぎぬにもせよ、
存在と非存在が問題となるやうな状態や行為に於ては自由ではない。

フォイエルバッハ「唯心論と唯物論 6必然と責任」
  (関根悦郎・國互一訳、共生閣、昭和六年十一月発行)