アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

「今日、学校が社会有機体の中に主体性を失ったまま組み込まれる」シュタイナー

市民社会においては、
数世紀以来、
経済生活が突出した重要性を持ち、
その結果、
精神生活は経済生活に強く依存するようになった。
自分だけを拠り所とする精神生活は失われてしまった。
科学的自然観と産業主義とがこの精神の主体性喪失に力を貸した。

今日の学校が社会有機体の中に主体性を失ったまま組み込まれるようになったのは、このことの結果である。

人間を国家や経済の外面的な生活に奉仕させようとすることが、
主要な教育課題になった。

人間の魂の在り方が事物の霊的な秩序と深く関連していること、
人間がこのことを意識することによって、
自分の属している国家と経済に意味づけを与えること、
このことを考える機会がますます少なくなった。

頭脳の働きが霊的な宇宙秩序に則ることはますます少なくなり、
ますます経済上の生産関係に従わされるようになった。

市民社会においては、
このことが魂のいとなみにおける感情の側面に決定的な影響を与えた。

プロレタリアの指導者たちはそこから理論的な人生観を、
「生き方のドグマ」を作り上げた。

シュタイナー「社会問題の核心」第二部 社会有機体三分節化をめぐって 三=自由な学校と三分節化 (高橋巖訳 イザラ書房 1991年4月30日 第一刷)