アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

暴力はエロス様の足下には寄れないのでございます。 「饗宴」プラトン

第一、
エロス様は不正をなさらない、
神様にも人間にも。
またそれを受けもなさらない、
神様からも人間からも。

何故かと申しまするに、
よし何かを受けたまふとも暴行はお受けになりません
 ー 暴力はエロス様の足下には寄れないのでございます ー
又何かをなさると致しましても暴行はなさいませぬ。
と申しますのも、
誰しもエロス様には強ひられずして萬事盡(つく)しまするし、
お互いに強ひられずして同意する事柄は正しいのであると「國(くに)の王たる法」は主張致しますから。

プラトン全集第四巻「饗宴」岡田正三訳、第一書房、昭和十八年六月三十日第一刷発行(五千部)】