アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

歷史にとっては国家および権力は単に現象にすぎない (トルストイ)

法学は国家および権力を、
何か絶対的存在の如く見なして研究している。
それは古人が火に対したと同じ態度である。
しかるに歷史にとっては、
国家および権力は単に現象にすぎない。
それはあたかも現代の物理學にとって、
火が元素でなくして、
現象にすぎないのと同じ道理である。

歷史と法学の見方に含まれているこの根本的な相違のために、
次のような状態が生じてくる。
法学は事故の信ずるところに随って、
権力組成の方法如何とか、
時の外に不動不変の存在を保っている権力の性質いかんとかを、
詳細に物語ることができる。
しかし、
時の中で変態を行う権力の意義に関して、
歷史的疑問を発するとき、
法学はなに一つ答えることができないのである。

 トルストイ米川正夫訳「戦争と平和(下)」エピローグ第二篇 
平凡社版 ロシア・ソビエト文学全集、1965年)

  ☆

私にとって国家および権力は単に現象にすぎない。。。わけがない!