『ソフィスト』のなかでプラトンは、
運動と静止、
自己同一と相違、
存在と非存在にかんする純粋な概念ないし理念(種類)を探求しています。
かれはここでパルメニデスに反対して、
非存在もあるということ、
単純な自己同一物が他なる存在に関与すること、
一が多に関与することを証明します。
また、
ソフィストは非存在にとどまるものだといい、
非存在や感覚や多を自分たちの立脚点とするソフィストを反駁してもいます。
プラトンは、
普遍的な理念の真のすがたを、
一と多、
存在と非存在、
等々の統一として定義し、
同時に、
そうした統一につきまとうあいまいさをさけている、
いや、
さけようと努力しています。
存在と無の統一というとき、
わたしたちは統一に力点をおきがちで、
すると、
差異がただただ無視されてきえていきますが、
プラトンは存在と無の差異をも保存しようとつとめています。
☆
『ソフィスト』は存在と非存在についてくわしく論じたものです。
すべての物は存在し、
実在(ウシア)をもつ。
同様に非存在もすべてのもののうちにある。
物がたがいに相違し、
他とはべつのものであるかぎりで、
物には否定の性質もふくまれる、
というのが『ソフィスト』の主張です。
存在するものは「ある」にも「あらぬ」にも関与し、
二つを自己のうちに統一しているけれども、
「ある」とも「あらぬ」ともちがうものだ、
とプラトンはいいます。