ところで、人間の自然本性そのものに属し、したがってまた堕罪によっても失われず、したがってまた恩寵のもとでもとどまるのが、人間の理性的あり方である(大全2-1.85.2参照)。
そして人間の理性的自然本性には、知性的認識能力である理性と、理性が捉える善へと向かう欲求(知性的・理性的欲求能力)である意思とが属しており、それらから人間には人間としての固有のあり方が生じている。
それをひとことで言えば、人間は自由な存在者であるということである。
人間は「自由な意思決定(liberum arbitrium)と自らの業(わざ)の産出力を有する限りでみずからの業の始まり(principium)である 」(大全2-1・序文)、「理性と意思によってみずからの諸活動の主(dominus)である 」(大全2-1・1・1)などと言われる。
トマスによれば、これこそ人間が「神の像」とされるゆえんである。
というのも、神はみずからの意思にもとづいて産出する万物の第一原因だからである(大全2-1・序言参照)。
哲学の歴史3神との対話「中世・信仰と血の調和」
(中央公論新社2008年1月発行)所収
「XI トマス・アクィナス 3倫理学と法・政治論」加藤和哉
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上記解説でトマス入門しました。
コンドル @condorUD
@longtonelongton 科学者が権威の上に胡坐をかき、想像を止めたり、自分を疑うことをしないのなら科学者として終わりだと思うのです。「中世哲学」からは多くを学べるような気がしました。 今からでも遅くないかな(;一_一)
armchair anthroposop @longtonelongton
@condorUD ほんとうにそうおもいますね。その意味では終わってしまった科学者ばかり目に付きます。勉強は何歳からでも遅くないです。ぼくも自称二十歳ですが、ものすごくさば読んでます(。・ω・。)
コンドル @condorUD
@longtonelongton 一語一句は忘れてしまったのですが、トマスは授業でものすごく印象が強かったことを覚えて居ます。
armchair anthroposop @longtonelongton
@condorUD 授業で勉強されたのですね。うらやましいです。ぼくは独学です。神学大全の天使論だけでも読もうと思っているのですが、大部すぎ。。 シュタイナーは、トマスがいわゆるフォトメモリーの持ち主だったと言っていたはずです。なるほどと思いました。
神学大全で「全ての悪の原因としての最高悪」に関する記述を斜め読みすると、トマス自身は全く楽天的で、悪のリアリティを認めていないようです。今の世界では悪ばかりがリアルで、善のリアリティを誰も信じてはいないように見える(つまり無神論)こととは対照的か。中世世界も初期は明るかったのか。
「神学大全」をすべて読むかどうかはともかく(何年かかるかな)、少なくとも「天使論」は興味があります。例によって、読み散らかしてる感じですが、少しずつでも読み進めようと思います。ぼくは、Ave Maria press(すてきな名前の出版社!)の英訳版を見ています。