飢えた民衆の悲痛な叫びを勝手に臆断して、帝政ローマ時代の傲慢な言葉、「パンと曲芸」を再び繰り返すことは許されぬ！ 人民がもはや物乞いをしないことはわかりきっているではないか！
彼等を喜ばせるために、どれだけパン屑を豪華な食卓から落としてやるかが問題では無い。人民は施しを必要としないのだ。
人民は自らの手でその幸蘄をつかみ取ろうとする。
人民は自らを律する法を制定しようと望むし、また制定するであろう。
その時、それらの法はもはや彼等に敵対するものでは無く、彼等のための法となるであろう。なぜなら、それらの法は彼等によって法であるからだ。
いつ取り消されるかも知れぬ、わけのわからぬ御下賜品を授与する権利を、われわれは何びとにも認めない。
われわれは、三千三百万のフランス国民が自らの政府の形態を選び、法を制定する使命を帯びた代表を普通選挙によって選出することを要求する。
この改革が達成されるや、富める者のために貧しき者を身ぐるみ剥いでいる諸々の税はすみやかに廃止され、それとは反対の基礎の上に定められる別の税に代えられるだろう。
働くプロレタリアートから取り上げて富者に与える代わりに、税は有閑者どもから過剰分を奪い取り、金がないために活動できないでいる貧窮した人々全体に、分かち与えられねばならぬ。
税は非生産的な消費者に課せられ、生産の源を豊かにするであろう。
税は、公債、この国家の血膿の出る傷口を閉じるのを次第に容易にするであろう。
最後に、有害な株式投機のかわりに国立銀行制度が設けられ、そこで勤勉な人々は財産の基礎を見つけることができるだろう。
その時、まさしくその時だけ、税はひとつの恩恵となるだろう。
ブランキ「革命論集・上 十五人裁判」より 加藤晴康訳（現代思潮社・1968年）
