アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

ミュンツ—が否定しているのは、単に個人的・地域的利己心のみではなく、民衆全躰の利益を考える広義の利己心、いわゆる革命的利己主義をもふくめての我欲であり、現世利益一般を求める革命である。

しかし、「ミュールハウゼン人への手紙」を素直に読むと、その中でミュンツ—が否定しているのは、単に個人的・地域的利己心のみではなく、民衆全体の利益を考える広義の利己心、いわゆる革命的利己主義をもふくめての我欲であり、現世利益一般を求める革命である。このような革命がキリスト教改革のための革命と二者択一の関係におかれており、前者の革命は神意によって挫折せざるを得ないのである。

「トーマス・ミュンツアー:ドイツ農民戦争と革命の神学」 マンフレート・ベンジング、田中真造訳(未来社)所収、訳者による解説「ミュンツアー像の変遷」より