アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

無力こそ力なり

シュタイナーは、地球の中でも、特にロシアの大地は、天からの霊的な光が降り注いでいる地域なのだと語った。ロシア人は、特に農民は、そのロシアの大地への強い愛を持つ。ラスコリニコフも大地に接吻して改悟する。偉大なり、ロシアの大地。チェルノブイリ原発事故は、その神聖な大地を汚したのだ。

光が強ければ強いほど、闇もまた際立つ。今ほど、闇の輪郭が鮮明な時代は無かった。戸惑いを覚える。自分の力で立っていられない程、大地が揺れる。

闇の輪郭は愚かさをも際立たせる
愚かなものが際立つ
愚かさに軍勢が加勢する
頭脳の歯車がはずれた男女に地上の君がかしずく

倨傲に軍勢が味方する
富は倨傲に火と油を注ぐ
闇だけが人の形なのか

闇の形をした人が歩き回る
輪郭の鮮やかな闇が

光を目にした人はいない
光は闇を輪郭として現れるのだ

人間の闇が光を示す
人間の形をした闇が光を放つ

おまえの肉体の闇から明るい光がこぼれ始める
おまえの肉体のソナタ形式
おまえの肉体がたどたどしく奏でる音楽

音楽のように
目に見えない光が
おまえの肉体の闇のなかから湧き出す

おまえの肉体のなかから朝がやってくる
闇のなかからしか朝は生まれない

 ☆

死の中からしか生は生まれない
肉体の死を喜べ
死を褒め称えよ

それが君の教えなのか?

怯懦な心よ
無力こそ力なり