アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

今の経済制度の下に於ては、 財貨、 人類を支配せり、 社會主義の社會に在ては、 實に人類をして財貨を支配せしめんと要す

然り、封建の時に於ては人類、
人類を支配したりき、
今の経済制度の下に於ては、
財貨、
人類を支配せり、
社會主義の社會に在ては、
實に人類をして財貨を支配せしめんと要す、
人類全體をして萬物の主たらしめんと要す。
豈に奴隷の制ならんや、
豈に個人を没却する者ならんや、
否な人生は如此にして初めて其眞價を發揚す可きに非ずや。

幸徳秋水「社會主義神髄」第五章 社會主義の効果 より

十九世紀日本、秋水は、二十一世紀の日本でこそ猖獗を極めている経済至上主義(今の経済制度の下に於ては、財貨、人類を支配せり)を批判した。人類が経済の上に立つべきだと主張した(社會主義の社會に在ては、實に人類をして財貨を支配せしめんと要す)。シュタイナーの社會有機体三分節化運動においても、精神生活(教育、芸術、宗教、学問、その他、人間を人間たらしめているあらゆる要素)が、経済生活から独立すべきだと主張している。精神こそが、経済の上に立つべきだと主張している。まさしく、秋水の言う通り、人生は如此にして初めて其眞價を發揚す可きに非ずや!