アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

秋が歩いて来る

雲が流れるとき
君の脳髄に立つ感情の荒浪

風が吹くとき
君の唇に浮かぶ微笑の冷たさ

世界は透明な水の中に沈んでいる
秋が耳の後ろでささやく
薄青い世界が君を取り巻いている
樹々は声をひそめる

君の心の中の洪水は去った

橄欖の枝を咥えた
赤い天使が
ざぶざぶ水に浸かりながら
歩いて来る秋です