卿の誕生の時の天球では月が主要な位置を占めていたように思われる。なぜなら月が受難、すなわち蝕の状態になるとかならずや卿は気を失われ、それも卿が蝕を御自身で目撃されなかった時も、またそれを予知しておられなかった時でも同じであって蝕が終わるや否や、卿は元気を回復されたのである。
「フランシス・ベーコン伝」ウイリアム・ローリー・岩波文庫「ニュー・アトランティス」川西進訳より
「ニュー・アトランティス」を書き残したフランシス・ベーコン卿は、月蝕になると気を失っていた。実は月の人でした。
月蝕になると「必ずや」気を失っていた、っていうところがすごい。やはり、只者ではない。フランシス・ベーコン。
中古英国ノ碩学者倍根ハ曰ク、浅少ナル理学ハ人心ヲシテ上帝ヲ信ゼザラシメ深奥ナル理学ハ人心ヲシテ天道二帰セシムト。
「漢学不可廃論」中村正直 明治二十年
「ニュー・アトランティス」 読了。