アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

原爆が空けた大きな暗い穴になだれ込む日本人と「暗い絵」(しげさんとのツイッターの記録:昨日の続き)

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton 万有引力って偽装された魔術ですね。

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 今、出先なので、キチンと返事ができないのですが、おそらくおっしゃる通りです。その辺の真剣な検討が女性科学史家ドブスによってなされたはず。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton あっ、ネタバレですね。みすず書房の『錬金術ニュートン』。途中までしか読みませんでしたけど。

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 私は完読しましたけど、覚えてないです。経済学のケインズニュートン手稿を集めていたというのは面白かったです。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton ベーコンやニュートンは置いといて、日本の戦後の始まりって反動もあって科学って言葉が輝いていました。民主科学、思想の科学マルキシズムも社会科学。そういう輝いていた科学への素朴な信頼。吉本隆明なんかにも残っていたのかなあと。彼は原発に肯定的でした。

@shigeharu1902 そうですね。当時は科学史ルネサンス研究も、そう言う意味で一面的だった。科学が宗教(や魔術)に勝利する歴史みたいな通俗的解釈。水俣等の公害問題が出てきて科学技術信仰が揺らぐまでは科学的=正義だった。原発問題でもその名残(残り香)がある。−>

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 −>吉本隆明も学生時代にフォン・ノイマン量子力学の数学的基礎」を読んで、科学が分かったつもりになったらしい。しかし、最晩年の週刊誌の対談(記事が正しければ)での発言を見る限り、量子論に基づく物質の本質が分かっていたのか、疑わしく思いました。−>

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 −>科学主義を標榜するにせよ、科学の射程距離が分かっていてそうしたわけではなく、一種の「信仰」でしかなかったのではないでしょうか。理系出身の吉本ですらそうだったと思えば、他は推して知るべしです。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton そのニュートン錬金術にはまってたというのは面白いですね。まさにヤヌスニュートン物理学的世界は厳密にはこの世のどこにも存在しない。そんなイデアの近似物がローラーのように大地の神々や妖精を引き殺していく……。ヨーロッパ母親を殺しましたね。

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 ニュートンゲーテを対置する見方もありますが、ゲーテが「ファウスト」で、母たちの国を描く必然性がまさしく「そんなイデアの近似物がローラーのように大地の神々や妖精を引き殺していく……。ヨーロッパ母親を殺し」ていくことへの痛切な異議申し立てだったか。−>

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 −>「ニュートン物理学的世界は厳密にはこの世のどこにも存在しない。そんなイデアの近似物」。ニュートン力学的世界像の本質はその通りでカントの認識論にその本義が抽出されたか。科学者は科学があくまでも世界のいちモデルであって世界自体の粗い近似だと認識する。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton カントの設定した「もの自体」の手前で理性の限界に踏みとどまればよいのに、へーゲルは理性の進撃を始めた。その鬼っ子のマルクスも認識の道具として唯物弁証法とやらを持ち出した。破壊の核爆発のアンチテーゼとしての…平和利用というビジョンもあったのかなあ…

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton 戦後日本の原子力工学草分け時代。広島や長崎の出身者が多かったと。核の平和利用をアメリカのエージェントが日本で世論工作をした時、読売の人間と話したのは「毒は毒をもって制する」。被爆地出身の原子力工学専攻の若者の内面にもそれがあったのかもしれません。

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 「 戦後日本の原子力工学草分け時代。広島や長崎の出身者が多かったと」そうですか。この辺は存命中の関係者諸氏のお気持ちを伺いところです。峠三吉のビジョンに通じる問題が見えてきますね。悪の中に善を見い出そうとすることが希望の原理たりうるのか?−>

@shigeharu1902 −>それは、絶対的悪というものを認めようとしない日本人(の世界観、宗教的態度)に起因するひとつの「弱さ」ではないのか。弱さが強さに転化する? 困難な問題です。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton カントの設定した「もの自体」の手前で理性の限界に踏みとどまればよいのに、へーゲルは理性の進撃を始めた。その鬼っ子のマルクスも認識の道具として唯物弁証法とやらを持ち出した。破壊の核爆発のアンチテーゼとしての…平和利用というビジョンもあったのかなあ…

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 なるほど。ヘーゲルは私に言わせれば、まるっきりオカルト(半分は肯定的意味です)のように思っています。マルクスは少しずつ勉強中ですが、なるほど、そう言われると、腑に落ちる気がしますね。唯物弁証法を奉じた名大の坂田昌一とか未だに影響力は大きいようです。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton とにかく思うのは大きな穴が空いてたんじゃないでしょうか。通常の経験ならそこを何らかの意味で埋めることができる。だけど多くの被爆者、そしてそれ以外の多くの人たちも、穴だけが大きくあいたままだった。そこに平和利用がはまった。鉄腕アトムだって活躍した。

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 そういう文学的な想像力でしか、把握できない大きな穴ですね。目に見えるような気がします。その大きな黒い穴が今でも成長しつつあり、人々を飲み込もうとしているのかも知れません。ヒエロニムス・ボッシュの絵のようなイメージが湧いてきますね。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton ああ、なるほど、あの絵に野間宏が引き付けれていく想像力の重ね合わせが少し見えてきたような…いや、ちょっと違うかなあ。しかし、野間は親鸞サルトルの影響もあるのか、理性の前に実存を置いて向き合おうとしてたという印象です。けっして飛ばない。飛べない。

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 サルトルは嘔吐と小篇を読んだだけですし(「存在と無」は学生の頃、挫折しました)、野間宏は評論を雑誌で読んでいた記憶しかないのですが、雰囲気は分かります。日本の戦後文学の想像力の問題と峠三吉の幻視の問題が、少しづつ重なり合ってきました。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton あっ失礼、暗い絵はボッシュではなくて、ブリューゲルでしたね。

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
今夜は、「ニュー・アトランティス」を読んでしまおう。フランシス・ベーコンの短い作品。昭和の純喫茶の名前みたいですけどね。どこかに無いか。純喫茶「ニュー・アトランティス」。入り浸りたい。「ニュー・アトランティス」。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton 「死の勝利」という絵で、3・11のあと、被災地に行ってこた姜尚中氏が、この絵を思い出したとか言っていました。 pic.twitter.com/52PkaE6d

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902  すごい絵ですね。しかし、当時の西欧人にとって、この絵のような光景は決して想像力の産物などではなく、実際に経験させられた世界なのだと思います。三吉の原爆詩集と同質の精神が宿っているのかも知れません。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton でも神の目という感じがしません?芥川の蜘蛛の糸のように上からではなないにせよ。悲劇を悲劇として死を死として悼む、それ自体として経験する。そういうのから一歩引いた意味付けがされているように思います。あちらとこちら。こちらが純化していくとデカルト……

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 ブリューゲルの薄い画集があったのですが本がぐしゃぐしゃに立て積みになっていて。見付かったらじっくり見てみます。PCだと細部が良く分からないですが言われてみればそうかも。デカルト的方法論は神の座標の中の世界であり、人間ですか。遠景の火と煙が夢のよう。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton いや…日本でも昔、お寺で地獄絵巻を見せられて、信仰を強めたように、中世ヨーロッパの人たちはこういう絵から我が身にふりかかる破局を想像したのかなあ。僕らが画集や美術館など、安定した近代的な場所から観るのと違う身入り方だったのかもしれませんね。

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 最近エンゲルスの「ドイツ農民戦争」とか、トマス・ミュンツアーの評伝とか、以前ですがノーマン・コーンの中世史とか読んでいて、西欧の彼らがいかに残虐な戦乱の中を生き延びてきたかを学んできて、この絵が彼らにはリアルな現実だったという気がします。

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 おっしゃる通り、当時は、教会の屏風絵を見て病気が治るとかもあったらしいですね(グリューネバルト)。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton なるほど。リアルな現実ですか。それがリアルでなくなった時が…他人事になる時がもしかしてあり、デカルト的視点のようなものを用意したのかもしれませんね。いろんな文脈があったと思いますが。ベトナム戦争の写真だって…我がことと受け止めた人がいました。

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 良く分かりませんが、デカルトの神が客観的な座標を用意する神だとすると、西洋神秘主義の伝統にある内在的な神との決別がそこにあって、啓蒙主義への道を開くことになるのかも知れません。絵の中に自分を探す・見るか、神の視点を感じるか。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton たぶん見る人は、滅びる側に自分を置かないんではないでしょうか。芥川の蜘蛛の糸のようにあそこまで上からだと、逆に下からの人物、カンダタが出てくる。ある意味で分裂。安定しない。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton いや…日本でも昔、お寺で地獄絵巻を見せられて、信仰を強めたように、中世ヨーロッパの人たちはこういう絵から我が身にふりかかる破局を想像したのかなあ。僕らが画集や美術館など、安定した近代的な場所から観るのと違う身入り方だったのかもしれませんね。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton なるほど。そうかあ、神秘主義を……実はほとんど知りません。興味が湧いてきました。

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 私も勉強中ですが、少なくとも西洋中世史では、ローマ教会による搾取・精神的・肉体的支配に真っ向から対決し得た、力強い思想を所持し得た者達は常に基督教神秘主義者たちだったと思っています。それは個人に内在する神についての確信があったからだと解釈しています。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton それはプロテスタントの先駆けと位置付けられてる人たちもそうだったのでしょうか?

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 宗教改革も勉強中ですが、ルターは神秘主義とは言えないでしょう。ルターと決別して、農民戦争で農民と共に闘ったミュンツアーは、ゾイゼ、タウラー(ベーメも?)の影響があったそうです。ちなみに北米大陸に渡った清教徒たちにはドイツ神秘主義の流れがあった。−>

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 −>カソリックと真っ向から対決し得たと言う、広い意味でなら、プロテスタントの先駆と見なせる非常に多くの流れが中世にはあったようです。彼らの所業の中には、スターリンも発見できれば、麻原もいる。もちろん、もっと、立派な人たちもたくさんいたはずですが。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton 例えばカルヴァンなどの神。ダイレクトに神と向き合っていたと思うのですが、彼の予定説なども踏まえると、内在していたというより、天にまします厳しい 問答無用の父という印象なのですが……おもにウェーバーの生かじりから。

armchair anthroposop ‏@longtonelongton
@shigeharu1902 内在的神の宗教者の多くはカソリックに異端として退けられてきた(多くは火刑・拷問で刑死)訳ですが、プロテスタントにも、当然異端排斥はあるわけで、カルヴァンは火刑で異端者を排除していったのではなかったかと思います。

しげ ‏@shigeharu1902
@longtonelongton 啓示か知りませんが神のお墨付きがあったのでしょうね。選ばれた(らしい)ものとしてそれを証明するがごとく「ならず者」は排除していく、それは明白なる使命なのだ! ちょっとブッシュの顔がちらつきました。なんだか血みどろのツイート群になってきましたねー。