アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

時間に就いて

未来の引き出しをあけることは恐ろしい。

気付いていますか
人間が素晴らしい楽器であることを

あなたがしゃべるとき
天使たちは固唾を飲んで聴き入る
あなたが声をあげて泣くとき
天使たちはその美しい調べに喝采を送る
あなたが静かに思索にふける夕べ
天使たちはその感情の虹に宇宙の音楽を読む

何がよくて何が悪いのか、
引き出しの未来には関係がありません。

あなたが眠るとき
引き出しはそっと開かれる

私には引き出しを開ける勇気が無いのです
私が引き出しを開けるとき
私は既に知っているでしょう
その中身が空っぽであることを
     
世界は明るく輝いています
引き出しはいつでもそこにあります
私はいつまでも未練がましく
その前に立ち尽くす

どんなに長い時間だったことか
私が引き出しを開けるとき
天使たちのしかめっ面が
さわやかな風になって
あなたの頬をなでるでしょう