アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

中世の日本社会では死刑など考えられなかった:大日本三千年紀研究會のためのコラージュ集 9

追放刑を受けながらなお荘内を経廻する者の処罰の一か条があることも勘案すれば、やはり中世の高野山領の諸荘園で、殺人などの重罪犯に対する処罰は、私領没収の上、追放が一般的であったが、場合によっては追放にまで及ばぬこともあったのであり、ともかく死刑など考えられなかったことは確実である。

「日本の社会史・岩波書店・1987年」第五巻 裁判と規範 所収「罪と祓」石井進