アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

ソフィスト的知性が依拠している虚無主義とその力について :大日本三千年紀研究會のためのコラージュ集 8

感情的心情的にうけいれられる理由を出発点として推論を重ねていくのがソフィストの手法です。事柄そのものが説得力をもつのではなく、感情的なものが説得の根拠としてもちだされてくる。・・・それがソフィストの特徴です。

・・こうした論法に熟達すると、−熟達できないとすれば教養が欠けているということだが、ソフィストたちは教養あふれる人びとだった、−やがて、理由をしめせというなら、理由をしめしてなんでも証明できる、すべてのことに理由なり反対理由を見つけることができる、と分かってくる。そしてそこにソフィストの犯罪と目される教授法、つまり、なんでも自分の思い通りに論証したり反証したりする技術の教授が可能となる。が、それはソフィストに特有のものではなく、反省的な論法に特有のものです。

・・ソフィストは日常意識という土台の上では確固たるものはなにもないことを知っていましたが、この認識は思想の力を示すもので、それがあるからこそ、すべてのうちに矛盾をつくりだし、すべてを動揺させることができた。それが、ソフィストが所有し普及させた教養の形式的側面です。

 ヘーゲル哲学史講義」第二章 A.ソフィストの哲学(長谷川宏訳)