アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

呪いの肉面 ー 後輩野田に捧ぐ

君の肉面は
だぶだぶしており

鴉の飛翔の見事さとは
対照的であって

レクター博士の美食には
ふさわしくない

犬も喰わない
猫もまたいで通ると
云われている

しかたがないので
マヤ歴も終わる今年
君の心の故郷
アメリカに帰り

アステカのミイラと共に
干し首となって
スミソニアンに展示されると
云われている

君の肉面が
とりわけだぶだぶして
波打ち始める

月もない
ぬばたまの夜は

君の肉面が
夜空を覆うので
暗いのである

巨大な魚眼
ぎょろぎょろ動き出し

大きな桜の樹の下で

アメリカ万歳
アメリカ万歳
アメリカ万歳

醜い裸形を曝し
サバトを主催する
光栄に浴すると
云われている

そして
何食わぬ顔で
ぱくりと
子供の塩漬け肉を
頬張る

さて
君のおすすめ
日本人男女の
血と肉

不肖私
レクターも
御相伴にあずかるとしよう