アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

日本変態党の歴史的態度について

      1

キリシタン殉教のことは頭を離れない

シュタイナーは
人類の歴史を
魂の進化としてとらえる
その時代区分にとって
十六世紀は大きな転換期であった
権威を自分の外側に置く悟性魂から
権威を自分の内側に見る意識魂の時代へ

意識魂の勃興する時代
徳川体制という
悟性魂の支配する世界に帰結しようとする
大きな流れに抗して
ヨーロッパの宗教的衝動の最後の火花が
渡来し
密航し
日本人に目覚めた強烈な個我の意識に
火を点けた

それは結果として
日本人が世界の潮流に抗して
引きこもる切っ掛けにもなった

その真実とは何か

幕藩体制の側から見れば
キリスト教布教が
アジアの
白人による植民地支配の先鋒であったのは事実である

何よりも
支配者達は
初めて目にするであろう
個我に目覚めた人間
貴賤を問わず
死を怖れず
殉教を名誉とする人間たちに
激しい畏怖を感じたはずである
自己の
愛する人間達の
魂の救済のみを求め
他の一切を省みない人間達に
強い恐れを抱いたはずである

二十八万に及んだという
殉教者の魂の側に立つとき
それは確かに
悟性魂と意志魂の戦いであった

しかし
歴史は時代の関数であり
一定しない

島原の乱
戦前
農民一揆として教えられ
キリシタンの反乱ではないとされた
それは
キリスト教神学者たちの
「乱」を恥じる気持ちの反映だったという
島原の乱で命を落とした信者は
殉教とは認められていない
武器を取って戦ったから

    2

時代の関数としての歴史を疑い
時代精神の風のなかを彷徨う

歴史の風のなかで
日本変態党は
口実とか
言い訳であって良い
何かを始めるための
口実であればよい
何かをせざるを得ないときの
言い訳であってよい
何かを主張せざるを得ないときの
旗印に使われてよい

日本変態党は組織ではない
方法である
道具である

事務所を公安が家宅捜索すると
酔っぱらって機嫌のいい
東京支部長がいるだけだった
みたいなことでいい

みんなで
日本変態党を使い回していくうちに
一定のカラーみたいなものも出てくるだろうから
そうして日本変態党とは何かが
だんだん明らかになっていくのである

日本変態党は
道具なので
ご自由にお使いください

たとえば
われわれは
河原乞食であり
チンドン屋である

原発回収業者でもある

いらなくなった
古原子炉
古燃料棒
ウランなど
ございましたら
お気軽に声をかけてくだされば
こちらから
取りにうかがいます
こちらは
古原子炉
回収業者で
ございます

商店街から声がかかれば
脱原発チンドン屋
アーケードを
ショッピングモールを
寂れたシャッター街
練り歩く
こどもが面白がって後を付いて歩く
それは決してデモではない

脱原発奉行
異端審問官は
御免こうむる
頭数にもなりたくない
われわれは
わがままな
日本変態党です

われわれは
東京支部長の
うまい酒と
パンクロック浸りの
ご機嫌な生活を尊重している
だから
彼に迷惑がかかるような活動は
一切
行わないであろう

剣を持って戦った時代は終わった
われらの武器は
言論と
アート
それが日本の雰囲気を
日本社会のエーテル体を
本来の壮麗な姿に
変容させるであろう

東電会長の如き
勤勉なエゴイストの理想を低く見て
怠け者のアミーゴを崇める
戦前の日本には
実はそういう先達が
数多く棲息していたのだ

労働はもとより神聖ではない
生きることが神聖なのである
「労働力」という頭数であることを
われらは拒絶する

働かざる者も
働く者も
等しく
食うべし

日本よ
変態せよ
蝶のように
モスラのように

こちらは日本変態党です。