私が好きな
猿の顔をした神
コブラの姿をした神に
守護される
幼子クリシュナ
高い塔は
あらゆるインド古代説話の
エピソードを網羅する立体曼荼羅なのだが
神話の懐かしさと
おとぎの世界の郷愁が
幾千の神像たちに宿る
真言読経が響く神殿の床には
瞑想する男
結跏趺坐する
印を結ぶ
インドの男
歩む僧
御堂に鎮座する神は
皆
漆黒の身体を真新しい衣にくるまれて
その尊顔の闇の色が
インドの神の古さと
宇宙遍在の証だ
私はもちろん
靴を脱ぎ
蛇口から流れる水に
色の黒いインド人の真似をして
足のほこりを洗い落とし
裸足のまま
寺院の門を潜ったのでありました。