アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

ジョホールの海岸にて

パパイヤの樹の上で

遠い岬
高く豊かにふくらむ雲
ゆったりと流れる光を眺める

世界はなんと美しいのだろう

心から満足する
ただそのために
鳥は生きている

首をかしげ
背筋を伸ばし
思慮深いそのしぐさが

世界に満足を示し
世界の美しさを讃える

黒い瞳の上に
まつげのような黒い毛が伸びて
長いからだを空気の流れにまかせ
大きなくちばしの上には
もう一つのくちばしが乗っている
ヒンズーの多面神だ

鳥の姿をした神が
パパイヤの樹の上から
私に語りかける

いいえ

私が見るものは
あなたに似た若者の
流血を受け止めた
湿った大地
その魂が彷徨った
暗いジャングル

私が聞くのは
その朽ちていく身体に
遠く響いた
潮騒の音だけなのです。