アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

「秘教的修行の手引き:エソテリックスクールより」 主要課題(1906年10月)その4

前回の続きです。

主要課題(4)
    (明治三十九年十月)

1.朝の瞑想は以下の要領で行うこと。
朝、まず日々の活動や食事を始める前に、神秘学徒は魂の全き平静を確保する。外界からのいかなる感覚的印象にも、思考習慣からもたらされる観念にも、注意を向けない。すべての日常的経験の記憶をも完全に沈黙させる。何にもまして、人生のあらゆる心配事も懸念も完璧に沈黙させることである。

完全に静まりかえった魂のなかから、以下の、ただひとつの理念が浮かび上がらなければならない。
   上にあるものは、すべて下にあり
   下にあるものは、すべて上にある
十分の間(時計ではなく、自分の感覚で)、この理念から獲得されるイメージ、この理念が与えられることによって世界が出現するイメージに沈潜しなければならない。このイメージが完全に正しいものである必要は無い。大切なことは、大まかに、この方向性に沿ってイメージを育てることである。しかしながら、完全に正しいイメージが確保されるための、あらゆる努力をおろそかにしてはならない。

この課題の後、次の課題に移る。すなわち、七回の呼吸を行う。ここで、吸気の長さは、残りの動作が滞りなく行える程度。
 息を吸う。吸気を終えたら速やかに息を吐く。そして、吐いた息が体外に残るように、少しの間、息を止める。
 ここで、以下のタイミングに従うこと。
 吸気:上に注意したような長さにする。
 呼気:吸気の二倍の長さで行う。
 次の吸気までの間の息を止める時間:吸気の四倍の長さにする(これは初期の場合で、少しずつ、吸気の十倍の時間にまで増やしていく)。
 
初めと二回目の息止めの間、自分のすべてを以下のイメージのなかに沈潜させること。
    私が存在する。
この時、鼻の付け根に意識を集中する(両眉毛を結ぶ線を1cm程頭蓋内側に後退させた位置である)。
 
三回目と四回目の息止めの間、以下のイメージのなかに沈潜すること。
    それが思考する。
この時は、咽頭部に意識を集中する。
 
五回目と六回目の息止めの間、以下のイメージに沈潜する。
    彼女が感覚する。
この時、心臓に意識を集中する。
 
七回目の息止めの間、以下に沈潜する。
    彼が意志する。
ここでは、へそに意識を集中し、そこから腹腔全体へ光が放出されているという意識を持つこと。
 
息を吸う間、吐く間には、何も考えない。(ここで、”それ”は普遍的な宇宙の思考力を、”彼女”は宇宙の魂を、”彼”は宇宙の霊を意味する。しかしながら、これらのイメージは、あくまでも方向付けの意味をもつに過ぎない。それらは、瞑想中には意識されてはならない。そうすることは、上に処方したマントラの性質を弱めるだけである。)

最後に、帰依の感情とともに、自分自身の神聖な理想に没入し、五分の間瞑想を行って、終了とする。

2.日中は、別に記載する副次的な課題を実践すること。

3.夜は、一日の出来事を時間を遡りながら反芻する瞑想を行う。

アルコールは厳に慎むこと。
菜食は助けにはなるが、必須と云うわけではない。