アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

九州電力・玄海原発(MOX燃料)が今や日本で最も危険な状態(圧力容器の金属材料劣化が限界) 関東地方(新宿、つくば)における放射線量は三月十五日前後の爆発等による増加以来一貫して下降傾向

新宿とつくば市放射線量のモニター値が以下のサイトで見られます。
福島第一原発における爆発・冷却水の枯渇などによる、三月十五日前後の増加の後は、一貫して下降傾向であると言えます。

高エネルギー加速器研究機構茨城県つくば市

原子力資料情報室(東京都新宿区)

ここで、仮に、上の情報よりも多めに見積もって、年間平均値が 0.3μSv/hr であるとしても、年間の積算線量が、0.3×24×365/1000 = 2.6mSv  程度ですので、許容される範囲だと思われます。ここで参考にしているのは、米国の放射線防護に関する委員会の推奨値で、年間5mSv 以下というものです。現実問題として、経済的に余裕のない人(つまり私です)が、仕事・生活を放棄してまで引っ越す冒険に乗り出す必要はないと思っています。

一方、FLASH(6月7日号)で金属学の井野先生が、佐賀県玄海原発の圧力容器材質の劣化が限界に達し、日本一危険な状態にあると指摘している。核分裂反応によって発生する中性子の何パーセントかは核反応サイクルから漏れ出して、絶えず圧力容器を照射する。つまり、中性子による照射損傷が進むため、圧力容器の金属材料が劣化する。その劣化の程度は、金属の脆性破壊温度の上昇によって示される。本来金属は、金箔で知られているように延性があって、引っ張ったり叩いたりすると伸びる性質を持つが、その金属も、低温になると延性が失われ、ガラスのような脆性(伸びずに断裂・破壊する性質)を示すようになる。ここで、健全な状態の金属材料の場合は、延性を失って脆性を示すようになる温度(脆性遷移温度)が比較的低いが、劣化が進むと、健全なものよりも高い温度でもこの脆性遷移が生じるようになる。玄海一号炉では、その温度が、98℃であることが最近公表された。この温度は、もはやこの炉の材質の劣化が玄海(限界でした)に達していることを示す。

この炉で福島第一原発のような事故が起きた場合、冷却水の注入によって98℃以下に冷やすと圧力容器は脆性を示すようになる、つまり、圧力容器のある部分がガラスのような性質に変わり、いわばガラス瓶に内部から加圧するような状態が出現する。これが、原子炉圧力容器の爆発に至る可能性は否定できない。その場合、放射能汚染による被害は現在の福島第一原発事故の比ではない。何よりも、98℃という脆性遷移温度は、金属学を学んだ事のあるものには衝撃的な値で、こんなボロボロの金属で出来た釜で原子力発電をしているとは狂気の沙汰としか考えられない。学生の頃は液体窒素温度(ー196℃)まで冷やして脆性遷移の実験をしたものである。

九州電力はこの原発をすぐに停止しなければ、遅かれ早かれ第二の東電の運命をたどることになる。九州電力幹部はこの記事を読んで、井野先生にも直接意見を聞き、手遅れにならない今のうちに英断を下すべきである。ちなみに私は学生時代、井野先生の講義は受けたはずだが、内容はすっかり忘れてしまった。しかし、井野先生は健在で、偉かった。もっともっと主張して欲しい。テレビにも新聞にもラジオにも出ていただきたい。九州の方々も、今のうち立ち上がって、九州を(日本を)原発事故から救って欲しい。この件を周知徹底して、デモでも何でも、思いつく限りの運動を開始した方がよい。韓国の人にとっても、この件は他人事では無いだろう。福岡のデルクイ青年も立ち上がるときが来た。