アームチェア人智学日記 改

或る奴隷博士の告白

魂の機械(第二稿)

淋しい秋の魂の機械に
打ち込まれる
霧深い薄暮の指令

〈1〉魔女キルケを探し出し豚に変えてもらうこと
〈2〉ルターの信仰義認・ミュンツァーの律法義認・ノマの行動義認すべてを蹴飛ばし 阿鼻叫喚の石段を駆け下ること
〈3〉処女水にて再生
           即ち
〈1〉人の道を離れ
〈2〉革命を遂行し
〈3〉あるす・あまとりあに至れ!

夜の塊に灯が点る
スターバックス・コーヒーの片隅で
独逸農民戦争から放射能千年王国運動へと至る一直線の道を駆け抜ける豚こそが私である

十二時閉店
深夜の乳母車に乗り
阿鼻叫喚の石段をガタガタと墜ちていく
夜の執政官 夜の提督 夜の百卒長 
夜のピアノたちが追いかける
魂の乳母車を
見ているのは深夜の地平線

生成 袋角 橋姫 霊女 痩女 孫次郎
小面 翁 瘤左衛門 飛出 霊男
赤ん坊をあやす戦乱の仮面たちよ
私たちの奴隷根性は未だ熟していないままです
処女水 オーケアノスの激流を下る乳母車を
十万の歩兵 二万の騎兵
三十二頭の戦闘の象たちもただ見送るばかりであります

 *

三途の川で幼児受洗
すべて被造物は虚無に服す